2009 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病モデル動物における心血管リスクのバイオマーカーに関する研究
Project/Area Number |
20880029
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
浅井 史敏 Azabu University, 獣医学部, 教授 (00511677)
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Keywords | 糖尿病 / 心血管リスク / バイオマーカー / インスリン抵抗性 |
Research Abstract |
新規の2型糖尿病モデル動物であるWBN/Kob-Lepr^<fa>ラットの病態特性を近系のWBN/KobラットおよびWistarラットと比較解析し、以下の成績を得た。 1.血液生化学および血栓パラメーター:WBN/Kob-Lepr^<fa>ラットの1)インスリン値は糖尿病発症以前は高かったものの、発症後は他の2系統と同レベルに低下した。2)トリグリセリド値、総コレステロール値およびHDLコレステロールは他の2系統よりも高値を示した。3)血小板凝集は糖尿病発症以前は他の2系統よりも高値を示した。4)血液凝固時間は内因系凝固時間で短縮傾向にあった。これらの成績より、本ラットでは糖代謝の異常のみならず、脂質代謝および血栓機構にも異常がみられることが明らかとなった。 2.インスリン抵抗性改善薬の影響:1)通常食群のWBN/Kob-Lepr^<fa>ラットが糖尿病が発症したのに対し、インスリン抵抗性改善薬のトログリタゾン混餌食群では血糖値の上昇は完全に抑制された。2)グルコース負荷試験では、トログリタゾン投与群のWBN/Kob-Lepr^<fa>ラットでは非投与群に比してグルコース負荷後の血糖値の上昇が顕著に抑制され、インスリンの上昇も顕著であった。インスリン抵抗性改善薬で糖尿病の発症が抑制されることから、本ラットにおける糖尿病はインスリン抵抗性に起因することが示唆された。 これらの成績から、肥満およびインスリン抵抗性を主徴とするWBN/Kob-Lepr^<fa>ラットは糖・脂質代謝の異常だけでなく血栓形成機構の亢進も認められ、ヒトの2型糖尿病患者の病態に類似する点が多いことが示された。WBN/Kob-Lepr^<fa>ラットは糖尿病の基礎研究のみならず新規治療薬の開発においても有用性が高いと期待される。
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Research Products
(3 results)