2009 Fiscal Year Annual Research Report
胎生期の栄養管理が生活習慣病モデルラットの血管機能と酸化ストレスに及ぼす影響
Project/Area Number |
20880030
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
里井 恵子 Kinki University, 農学部, 助教 (70510874)
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Keywords | 栄養 / 循環器・高血圧 |
Research Abstract |
【研究内容】妊娠を確認したSHRSPに、20% casein食(対照群),9% casein食(低タンパク曝露群)を与えた。出生後、仔は市販飼料(船橋SP飼料)で飼育し、10週齢からそれぞれ1%食塩水群と水道水群に分けた。この間、体重と血圧(Tai1-cuff法)を測定した。13週齢時には食塩負荷により低タンパク曝露群が対照群に比べ血圧が有意に上昇したのを確認し、胸部大動脈を摘出した。薬理学的指標として胸部大動脈の内皮依存性弛緩反応を観察し、生化学的指標として胸部大動脈の血管内皮由来-酸化窒素合成酵素(eNOS)、グアニル酸シクラーゼ(GC)、NADPHオキシダーゼサブユニット(p22phox)のタンパク発現量を、さらに血漿中のTBARS量とNO産生量を測定した。【結果】1)低タンパク曝露の影響;血漿TBARS量,血漿中NO産生量には胎生期の低タンパク曝露の影響は認められなかった。弛緩反応は,低タンパク曝露により減弱する傾向が見られた。低タンパク曝露ではGCが有意に増加したがeNOS発現量は動かなかった。2)食塩負荷の影響;血漿TBARS量,血漿中NO産生量は20%タンパク群では顕著な変化は認められなかった。低タンパク食群では,血漿中NO産生量は有意に増加した。弛緩反応は食塩負荷により20%タンパク食群でに減弱したが,低タンパク食群ではその減弱がわずかであった。eNOS発現量は対照群、低タンパク曝露群ともに増加傾向を示したが、GCは動かなかった。以上より、胎生期に低タンパク曝露を受けたSHRSPでは、血管弛緩反応の減弱傾向が見られた。しかし、食塩負荷による血圧上昇が認められているにも関わらず、著しいNO産生能低下や酸化ストレスの亢進を伴わないことが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)