2009 Fiscal Year Annual Research Report
ロドコッカス属細菌における難分解性環境汚染物質分解制御系の網羅的解析
Project/Area Number |
20880031
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
原 啓文 Okayama University of Science, 工学部, 講師 (80511071)
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Keywords | 放線菌 / 環境汚染物質分解 / ChIP-chip解析 / 二成分制御系 / 転写制御因子 |
Research Abstract |
Rhodococcus jostii RHA1はポリ塩化ビフェニルおよびフタル酸エステル類などの広範囲の難分解性芳香族化合物を分解する能力を有するグラム陽性の土壌微生物である。本研究では、ビフェニルの代謝に必須である二成分制御系BphS1T1による転写制御系の網羅的解析を行うことを目的とし、BphT1がビフェニル代謝中に転写活性化する領域を特定するためにChIP-chip解析を行った。始めにRHA1染色体上にはBphT1S1と高い相同性を示すビフェニル代謝に必須ではないBphT2S2が存在していることから、bphT2遺伝子破壊株の構築を行った。対数増殖機中期まで生育したbphT2遺伝子破壊株に10mMのビフェニルをさらし、ホルムアルデヒドを添加しDNA-たんぱく質を架橋した。菌体破砕の後、BphT1抗体を用いて免疫沈降を行い、BphT1に特異的に結合しているDNAを単離した。コントロールとしてビフェニルにさらす前の菌を同様に免疫沈降を行いDNAを調整して、RHA1の全ゲノムに対応するマイクロアレイにハイブリダイズした。その結果、ビフェニルに応答してBphT1が結合する100カ所以上の領域を同定した。ビフェニルで生育した菌体ではピルビン酸で生育した菌体と比べて1,000以上の遺伝子発現に変化があったことを報告しており、この結果と統合し新規なBphT1レギュロンを同定した。BphT1はビフェニル代謝酵素遺伝子bphAa、etbAa以外に、転写レギュレーターおよび転写物分解を行うと考えられるエンドリボヌクレアーゼをビフェニルに応答して高発現していることが明らかとなった。この結果は、BphT1はビフェニル分解酵素系を転写誘導する以外に、転写制御因子や翻訳制御を担うORFの転写を活性化するマスターレギュレーターとしてRHA1株のビフェニル代謝に関与していることを示唆している。
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