2008 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞におけるフラボノイドのTLRシグナルを介した炎症制御機構の解明
Project/Area Number |
20880032
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
吉田 裕樹 Kyushu University of Health and Welfare, 薬学部, 助教 (90469411)
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Keywords | シグナル伝達 / 食品 / 脂肪細胞 / 炎症 / TLR / 遊離脂肪酸 / NF-κB / ERK |
Research Abstract |
脂肪組織における炎症性変化の増悪は、インスリン抵抗性を基盤とする糖尿病などのメタボリックシンドロームの発症・進展に深く関与している。従って、脂肪細胞の炎症制御機構を解明することは、病態予防・改善を考える上で重要である。本研究では、柑橘類フラボノイドが脂肪細胞由来の遊離脂肪酸(FFA)や炎症性アディポカインの分泌に影響を与えるか評価し、その分子メカニズムの解明を行った。さらに、脂肪組織の炎症増悪に関与することが示唆されているToll-like receptor (TLR)の脂肪細胞における発現制御機構に対する柑橘類フラボノイドの影響を評価した。 まず、3T3-L1脂肪細胞を用いて、各種柑橘類成分を前投与した後に、炎症モデルの1つであるTNFαの投与を行い、培養上清中のFFA濃度をACS-ACO酵素法により測定した。その結果、柑橘類フラボノイドのヘスペレチンとナリンゲニンが顕著にFFA分泌を抑制することを見出した。次に、ヘスペレチンとナリンゲニンによるFFA分泌抑制機構を解明するため、FFA分泌制御に関与するlipolysis関連因子(Perilipin, PDE3B, Akt, PPARγ)の発現量変化に対する影響をReal-time PCRを行い検討した。その結果、ヘスペレチンとナリンゲニンはTNFα刺激によるlipolysis関連因子の発現量低下を抑制した。また、FFA分泌抑制の一部分は、細胞内シグナル伝達のNF-κB経路の阻害によることがWestern blottingを用いた検討により示唆された。ヘスペレチンとナリンゲニンは、炎症性アディポカインの1つであるIL-6の分泌に対しても抑制的に作用し、FFA分泌同様にNF-κB経路の阻害が関与することを明らかにした。次に、3T3-L1脂肪細胞における各TLRファミリー分子の発現量変化をReal-time PCRにより検討したところ、TNFα刺激によりTLR2の発現量のみが顕著に増加した。さらに、ヘスペレチンとナリンゲニンの前投与は、NF-κB経路の阻害を介してTLR2の発現量増加を抑制した。以上の結果より、脂肪細胞におけるヘスペレチンとナリンゲニンの炎症制御機構の一端が明らかとなった。
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Research Products
(4 results)