2008 Fiscal Year Annual Research Report
豚レンサ球菌srtG領域の線毛形成および宿主定着能への関与の解析
Project/Area Number |
20880039
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
大倉 正稔 National Agricultural Research Organization, 動物衛生研究所細菌・寄生虫病研究チーム, 研究員 (60508315)
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Keywords | 豚レンサ球菌 / グラム陽性菌の線毛 / 宿主定着能 |
Research Abstract |
豚レンサ球菌(Streptococcus suis)は豚や人に髄膜炎や敗血症、心内膜炎等の重篤な疾病を引き起こす人獣共通病原細菌であるが、その病原因子についての情報は少ない。そこで本研究課題では、新たな病原因子として宿主への定着に重要な役割を果たす線毛に着目し、S.suisのゲノムシークエンスデータ中に見いだされた線毛様構造の発現に関与していると考えられる遺伝子領域が実際に線毛の形成に関与していることを証明するとともに、線毛形成に対する各遺伝子の役割および菌の宿主定着能への関与について明らかにする事を目的としている。 本年度は線毛の構成成分と考えられるタンパク質について大腸菌を宿主としてリコンビナントタンパク質を作製し、線毛構成成分に対する抗血清を作製した。さらに、各線毛関連遺伝子の破壊株を作製するとともに、破壊した遺伝子の全長を発現ベクターにクローニングし、それぞれの遺伝子破壊株に再導入することにより、遺伝子相補株を作出した。 本年度の研究成果は本研究課題を遂行する上で必要なツールの作製に位置づけられ、非常に重要であり、次年度は作製した線毛構成成分に対する抗血清及び線毛関連遺伝子破壊株と遺伝子相補株を用い、ウエスタンブロッティングや免疫電子顕微鏡法を行うことにより、菌体表層の線毛様構造の存在を証明し、線毛形成における各関連遺伝子の役割を明らかにできることが期待される。また、感染時に菌の足場として重要であると考えられる宿主細胞・成分を標的として粘着試験を行い、線毛関連遺伝子破壊株と親株との間で比較する事により、本菌の線毛が宿主の定着に寄与しているかを明らかにでき、感染メカニズムの一端が解明される事が期待できる。
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