2009 Fiscal Year Annual Research Report
イネにおいて遺伝子発現制御に関わるシス配列情報整備のための基盤研究
Project/Area Number |
20880041
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
佐藤 豊 National Institute of Agrobiological Sciences, ゲノムリソースセンター, 任期付研究員 (90510694)
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Keywords | マイクロアレイ / 転写因子 / シス配列 / イネ |
Research Abstract |
汎用性の高いシス配列探索ツールを整備するために、同じ発現パターンを示す遺伝子群の情報は極めて有用性が高い。そのため、イネの様々な器官・組織、あるいは経時的なサンプルから構成される大規模なマイクロアレイデータを利用して実験条件に依存した、あるいは依存しない共発現解析を実施した。共発現関係の強さを表す指標として、ピアソンの積率相関係数、あるいは相関係数の順位に基づいた指標(MR : Mutual Rank)を用いた。相関係数、あるいはMRを基準にして共発現関係の強い遺伝子群を抽出し、それらの転写開始点より上流1kbに対して既知のシス配列の存在頻度を調べた結果、いくつかのシス配列では有意な蓄積が見られたが、そうでないケースも見られた。そのため、共発現解析結果からのシス配列探索についてはさらに検討を要すると考えている。その1つの手段として、PLACEというデータベースで公開されている既知のシス配列(469件)情報を利用する予定であり、その準備として29,389遺伝子の上流1kbにおいて、それらシス配列の存在頻度を調べた。その情報を利用することで共発現遺伝子群に存在する既知のシス配列の存在頻度を速やかに調べることが可能となる一方で、これらの情報の利用は共発現解析結果の信頼性を評価する1つの客観的指標にも成り得ると考えている。また共発現解析結果を利用して、シス配列探索とともにその発現を制御する転写因子の特定を試みるために、視覚的に表現型を観察できる形質で、かつ関係する遺伝子が報告されているクロロフィル代謝系に着目してin silicoの解析を実施した。その結果、イネ、シロイヌナズナ両方に共通してクロロフィル代謝系の遺伝子と共発現する1つのNAC転写因子を選抜することができた。
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