2008 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレスによって誘導される老化現象におけるタンパク質分解経路の役割
Project/Area Number |
20880045
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
今村 伸太朗 Fisheries Research Agency, 中央水産研究所利用加工部, 研究員 (80510007)
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Keywords | 酸化ストレス / 老化 / タンパク質分解 / オートファジー / ゼブラフィッシュ |
Research Abstract |
酸化ストレスは生体内に酸化タンパク質を蓄積させ,細胞老化および個体死を誘導することから,生物の寿命を規定する主要因と考えられている。この酸化タンパク質の分解と老化細胞の除去機構に着目して,タンパク質分解経路における抗老化作用を解明する。老化におけるオートファジー(自食作用)の役割を解明するために活性酸素によるオートファジーの誘導性及び生物影響を調べた。ゼブラフィッシュ仔魚及び成魚への活性酸素の投与によって,成魚では脳,眼,腎臓,肝臓および筋肉に酸化タンパク質の蓄積が確認された。筋肉には正常個体でも多くの酸化タンパク質が蓄積していた。さらに,活性酸素を投与することによってオートファジーが誘導されることを明らかにした。仔魚では脳で,成魚では特に,脳,眼,次いで肝臓,腎臓で強くオートファジーが誘導されたが,筋肉および消化管では見られなかった。以上から,活性酸素に対する感受性およびオートファジー活性化には組織特異性があることが分かった。本申請課題は,タンパク質分解経路であるオートファジーに着目し,酸化タンパク質の除去作用,老化細胞および変性細胞への細胞死誘導による除去作用を伴う老化に対する新しい防御機構を提唱を目指している。オートファジーの抗老化作用が明らかになることによって,オートファジー活性が老化のバイオマーカーとなるだけでなく,オートファジー可視化魚を用いた抗老化作用を持つ新規薬剤および食品成分の検索が可能となる。
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