2009 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレスによって誘導される老化現象におけるタンパク質分解経路の役割
Project/Area Number |
20880045
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
今村 伸太朗 Fisheries Research Agency, 中央水産研究所利用加工部, 研究員 (80510007)
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Keywords | 酸化ストレス / 老化 / タンパク質分解 / オートファジー / ゼブラフィッシュ |
Research Abstract |
酸化ストレスは寿命を決定する要因の一つであり,酸化されたタンパク質の蓄積は老化過程において細胞老化を引き起こすと考えられる。酸化タンパク質の分解機構を解明するために,ゼブラフィッシュ胚及び成体を用いて酸化ストレス条件下においてオートファジーの誘導性を調べ,酸化タンパク質の分解及び細胞老化におけるオートファジーの役割を調べた。ゼブラフィッシュにおいてオートファジーの誘導を観察するために,微小管結合タンパク質(MAP1-LC3B:LC3)と緑色蛍光タンパク質(GFP)を連結した発現系を導入したトランスジェニックフィッシュ(GFP-LC3)を用いた。Hydrogen peroxide及びtert-butyl hydroperoxideをゼブラフィッシュ胚及び成体に浸漬し,LC3の発現をウエスタンブロット法で検出した。酸化タンパク質はカルボニル化及びジチロシン化されたタンパク質を検出した。オートファジーを阻害するために,ATG5及びATG7に対するアンチセンスオリゴを胚に注入し,酸化ストレスによる細胞老化の誘導をSenescence-Associated-β-Galactosidase染色を用いて調べた。酸化ストレスによってゼブラフィッシュ胚でオートファジーが誘導された。GFP-LC3胚を用いると,後脳,目,体節でGFPが観察された。成体では脳,目,腎臓,肝膵臓でオートファジーが誘導され,筋肉と皮膚では誘導されなかった。ゼブラフィッシュ胚においてATG5及びATG7の翻訳を阻害すると,酸化ストレス条件下では発生遅延及び胚致死となることが分かった。酸化ストレスによって誘導される細胞老化はオートファジーの欠損によって促進した。これらの結果から,ゼブラフィッシュモデルにおいて,オートファジーは酸化ストレスによって生成された酸化タンパク質を分解する働きがあり,抗老化作用に必須であることが分かった。
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Research Products
(1 results)