2008 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症とアスペルガー障害の社会認知障害の神経基盤の解明と臨床的検査法の検討
Project/Area Number |
20890008
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
豊巻 敦人 Hokkaido University, 大学院・教育学研究院, 学術研究員 (70515494)
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Keywords | アスペルガー症候群 / 統合失調症 / 社会認知 / 事象関連電位 |
Research Abstract |
統合失調症は妄想・幻覚が表れ、社会的コミュニケーションの障害を持つ代表的な精神疾患である。他方で、アスペルガー障害は自閉症スペクトラム(自閉症と連続性を有する)の1つに位置づけられ、言語発達や認知発達の遅れはないが、社会性の発達や対人コミュニケーションの障害と限局された興味・関心を特徴とする障害である。近年、統合失調症とアスペルガー障害が示す社会的コミュニケーションの障害の背景にある認知処理過程およびその神経基盤について高い関心が寄せられている。本研究は、統合失調症とアスペルガー症候群における社会認知障害の共通性、差異性を明らかにすることである。臨床的に顕在化している社会認知障害がそれぞれの疾患でどの処理レベルの障害によってその後の処理の律速因子になっているのかを明らかにする。平成20年度は主に社会認知機能やその基礎にある運動視などの視知覚の機能を評価する行動課題とそれぞれ統合失調症型人格傾向、自閉症傾向を評価する質問紙を用いて、健常大学生でのデータを収集し分析した。運動視機能を評価する課題として、coherent motion課題、社会知覚機能を評価する課題としてbiological motion課題、より高次の社会認知機能を評価する課題として表情弁別課題を行った。その結果、運動視能力が低下する被験者では社会知覚能力が低下しており、そうした被験者は自閉症傾向が高いことが見いだされた。健常大学生ではなく、統合失調症、アスペルガー障害と診断された患者群での検討は十分な例数が集まっておらず検討を続けているところである。
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Research Products
(3 results)