2008 Fiscal Year Annual Research Report
前期高齢女性への効果的な介護予防ケア-社会的活動と生活意欲に着目して-
Project/Area Number |
20890010
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
平野 美千代 Hokkaido University, 大学院・保健科学研究院, 助教 (50466447)
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Keywords | 前期高齢女性 / 介護予防 / 社会的活動 / 生活意欲 |
Research Abstract |
本研究は、要支援にある独居の前期高齢女性に対する介護護予防ケアの内容と社会的活動の変化に着目しその実態を明らかにする。次に、介護予防ケアを受けたことで、前期高齢女性の生活に対する意欲がどのように変化したのかを記述することを目的とする。 平成20年度は文献検討と独居で生活する前期高齢女性を対象に半構成質問紙を用いた個別面接調査を実施した。国内外の文献検討の結果、(1)介護予防ケアとして各種ツール、プログラムが在宅高齢者の運動機能維持・改善に効果をはたしているが、運動プログラムの実施により、生活機能や社会活動まで向上したという結果までは明らかにされていない、(2)介護予防ケアにはADL・IADLの維持・向上への支援や要支援高齢者の主体的な取り組みが必要である、(3)高齢者の社会活動の特徴として、仕事を通じて地域貢献している者や日常生活に必要な活動(Obligatory Activities)を通じて社会的活動を行う高齢者の存在が明らかとなっている。以上のことから、前期高齢女性の社会的活動は家庭外における他者との直接的な交流だけではなく、日常生活に必要な活動(Obligatory Activities)を通じて行われる他者との接触も含まれることが示唆された。 また、平成20年度は対象者4名に対し、社会的活動や生活に対する意欲について個別面接調査を実施した。分析の途中経過より、前期高齢女性と一般高齢者の社会的活動の様相は異なることが示され、前期高齢女性の社会的活動には、家庭内において1人で行う活動も含まれ、それらを意欲的に行い生活の楽しみや張りへとつなげていることが継続比較分析より抽出された。 在宅高齢者への介護予防ケアは、ADL、IADLの変化を測定したアウトカム等を用いて明らかにされつつある。しかし、本研究は、前期高齢女性が介護予防ケアを受けたことで、社会的活動や生活に対する意欲がどのように変化したのかを質的に記述していることから、前期高齢女性の社会的環境や生活への意欲をリアリティをもってとらえ、伝えることができると考える。
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