2009 Fiscal Year Annual Research Report
小腸インクレチン細胞における転写および分泌調節機構の解明
Project/Area Number |
20890011
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
藤田 征弘 Asahikawa Medical College, 医学部, 助教 (20451461)
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Keywords | インクレチン / GIP / GLP-1 / 転写因子 / 小腸 / 糖代謝 / 甘味受容体 |
Research Abstract |
GIPおよびGLP-1は消化管内分泌細胞から分泌されるインクレチンホルモンで、血糖依存性に膵β細胞からのインスリン分泌を促進し、食後血糖を調節する。昨年度の検討で、Pax6並びにPdx1がともにGIP遺伝子発現に重要な転写因子であることを見いだした。食物由来の糖が腸管でのGIPとGLP-1の分泌促進因子であることはよく知られているが、糖のセンシングとその下流シグナル伝達の機構についてはあまり明らかになっていない。最近、舌の味覚細胞に存在する甘味受容体とその下流分子(α-gustducin)がGIP産生K細胞やGLP-1産生L細胞に存在することが報告されている。本年度はインクレチンの糖に対する分泌機構を明らかにするため、甘味受容体のアゴニストである甘味料がin vivoでインクレチンの分泌を促進するか検討を行った。免疫組織的検討ではK細胞の約1/3はα-gustducinを共発現していた。正常ラットでは経口甘味料+腹腔ブドウ共負荷では腹腔ブドウ糖単独負荷と血糖値の推移は変わらず、経口ブドウ糖負荷と比較して有意に血糖値が高値であった。ブドウ糖は経口負荷後10分でGIPとGLP-1の血中濃度をそれぞれ約4倍と約2.5倍有意に上昇させたが、甘味料はインクレチンの血中濃度を上昇させなかった。したがって甘味受容体のアゴニストである甘味料の単回投与によって糖代謝におけるインクレチン効果、GIPおよびGLP-1分泌の促進効果は認めず、甘味受容体が急性のインクレチン分泌に関与していないことが示唆された。一方、in vitroでスクラロースはGIP、GLP-1の分泌を促進すると報告されておりインクレチン細胞での甘味受容体の役割は今後の検討課題である。
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