2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20890013
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 隆史 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 助教 (70508308)
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Keywords | ストレス / 転写因子 / Nrf2 / Keap1 / トランスジェニックマウス / センサー / システイン残基 |
Research Abstract |
活性酸素種などの酸化ストレスや外来異物に対しての応答系の破綻は、様々な疾患の発症と密接に関わっている。このような疾患を未然に防ぐ目的で、細胞はストレスに対して素早い応答で対応し、転写因子Nrf2を活性化し酸化ストレス・異物代謝応答系に関わる酵素遺伝子の一群を統一的に制御していることが明らかになっている。Keap1はストレスセンサーとして働くと考えられているが、その生理的機能は十分に明らかになっていない。今年度は、Keap1の生理的機能解析を目的に、トランスジェニックマウスにおいて発現しているタグ付きKeap1を各種臓器から免疫沈降法による精製を試みた。その結果、マウス組織から純度高くKeap1タンパク質を精製することに成功した。これまでKeap1の修飾システイン残基の同定などの解析は大腸菌などを用いて大量精製されたタンパク質を用いた試験管内反応の解析であったが、今年度の成果によって生体内のKeap1分子の解析が可能になり、様々な解析が可能になると期待される。今後は、特に、マウス組織から単離したKeap1タンパク質が修飾されているシステイン残基の同定および相互作用因子の同定を試みる。また、Keap1の151番目のシステイン残基はこれまでの解析からいくつかの化合物と反応性が高いことが報告されている。このシステイン残基をセリン残基に置換したKeap1分子を発現するトランスジェックマウスの解析を行ったところ、ストレス応答に151番目のシステイン残基を必要とする化合物とそうでない化合物があることが明らかになり、Keap1のストレス感知機構においてシステイン残基の使い分けが存在することが強く示唆された。この結果を踏まえ、今後、化合物によって修飾されるKeap1のシステイン残基の違いを明らかにできると期待される。
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