2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本人女性肺腺癌に対するアロマターゼ阻害薬選択の可能性
Project/Area Number |
20890014
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿部 佳子 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 助教 (80455782)
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Keywords | 肺癌 / 女性 / アロマターゼ / ホルモン受容体 |
Research Abstract |
昨年度、肺非小細胞癌において、ERβとアロマターゼが同時に発現することが判明したことをうけ、本年度は同報告を論文発表するとともに、日本人女性肺癌に研究ターゲットをしぼり、ERβとアロマターゼが同時に発現することと癌の増殖、浸潤への関与を検討した。さらに、複数の肺癌細胞株を使用して実験的データとして検証できるか試みている。 75症例の日本人女性肺腺癌について、25例のbroncho-alveolar carcinoma(BAC,非浸潤癌)と55例のnon-BAC(浸潤癌)にわけて、アロマターゼの発現とエストロゲレ受容体の発現および増殖能について免疫組織染色にて検討をした。結果として、BACではnon-BACより高いアロマターゼの発現が得られたが、アロマターゼとともにERβが発現する率はnon-BACにおいて高く、non-BACのみでERβの発現率とKi-67 LIによる増殖能の間に正の相関関係が得られた。よって、浸潤性の肺腺癌が、より、アロマターゼ阻害薬治療のターゲットとる可能性を考えた(European Congress of Pathologyにて発表)。一部の症例について凍結標本を用いてエストロゲン濃度測定を試行し、アロマターゼの発現との関係を検討したが、検討症例数が少数であったためか、有意な関係は指摘できなかった。さらに、2種類の肺癌細胞株(BACとnon-BAC)を用いることによって、浸潤能の高い細胞株が、浸潤能の低い細胞株に比して、ERβを介する高い増殖を示すかという実験を現在行っており、免疫染色による結果が、実験的データにより検証できるか検討中である(実験は半分程進んだ段階で完了していない)。当初予定していた、肺癌細胞株の樹立、プロテオミクス解析までは到達できなかったが、昨年度の研究をさらに発展することができた点で、本年度の研究成果は意義のあるものと考える。
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