Research Abstract |
様々な疾患を背景に持つヒト肺細胞は, その遺伝背景や老化の程度も異なるユニークな細胞である. そしてこれらの細胞は, 元々の肺疾患のphenotypeを引き継いでいると考えられ, 今までの培養細胞実験とは異なる, 疾患肺細胞固有の反応が得られると考えられる. そして, これらの細胞の機能を解析することによって, 難治性肺疾患に対する新たな理解が得られるものと考える. 今回の研究は, このユニークなヒト肺細胞を用い, その機能・反応を解析することによって, 細胞の側から疾患を理解するとともに, 新たな創薬・薬剤スクリーニングの場を構築するのが目的である. ヒト肺より分離した肺細胞の反応性の違いが, 個々の遺伝背景によるものであるか, または原疾患の影響によるものかを検討するため, 慢性閉塞性肺疾患(COPD : chronic obstructive pulmonary disease), 肺線維症, 自然気胸の患者より, 同意書を得た後, 肺細胞を抽出した. そして, それら細胞の表面マーカーの発現の違いをFACSを用いて解析した. 細胞表面マーカーのうちc-KitとCD133に注目し解析した結果, c-Kit陽性細胞は疾患の違い, 年齢の違いにより大きな違いは存在しなかった. しかし, CD133陽性細胞は線維化肺での増加を認め, 原疾患との関連が示唆された. 肺組織からは, 上皮細胞, 内皮細胞, 線維芽細胞が容易に分離培養出来る.
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