2009 Fiscal Year Annual Research Report
体外衝撃波による心臓血管新生作用の分子機序の解明及び慢性心不全治療への応用
Project/Area Number |
20890016
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中野 誠 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 助教 (30513551)
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Keywords | 体外衝撃波治療法 / 血管新生 / 慢性心不全 / 血管内皮前駆細胞 |
Research Abstract |
培養細胞(血管内皮細胞、心筋細胞)及び実験動物(ラット)を用いて、体外衝撃波照射の治療効果を検討する実験を施行した。in vitro実験として、正常ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を培養し、小型衝撃波発生装置を用いて照射を行った。照射後の血管内皮増殖因子(VEGF)発現量に実験毎のばらつきが大きいことが分かり、原因として衝撃波発生装置の焦点深度の問題で、一層の培養細胞に一定のエネルギーが照射されていない可能性が考えられた。一層の培養細胞に確実に衝撃波を照射可能とする、特殊な培養チャンバーを本学工学部と共同開発し、それを用いて実験を施行したが、VEGF遺伝子のup-regulationは再現されなかった。現在、生体内の立体構造を再現するように、コラーゲンゲル内に立体的にHUVECを培養し、ゲル内に向けて衝撃波を照射する実験系を試行中である。in vivo実験として、正常ラットの心臓に対し体外衝撃波を照射後、二日目に心臓を摘出し、ウェスタンブロット法にてVEGFの蛋白発現上昇を認めた。次に慢性心不全の疾患モデルラットとして、ダール食塩感受性高血圧ラットを使用した、高血圧性心肥大による心不全モデルを作成した。心不全を発症する前後の時期に衝撃波照射を行い、心機能、生存期間を解析したところ、有意差では無かったものの、照射群において左室収縮力の改善傾向と生存率の改善傾向を認めた。今後、解析数を増やしていく予定である。また、体外衝撃波照射が骨髄由来血管内皮前駆細胞を心筋内に動員し、血管新生を促進し、心機能を改善させるという仮説を検証するため、ラットの骨髄置換実験を反復施行し、ラット骨髄移植の実験系を確立させた。今後GFPキメララットを作成し、骨髄細胞の心筋動員について解析予定である。
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