2008 Fiscal Year Annual Research Report
iNKT細胞とB-1B細胞移入による重症型急性肺炎治療の研究
Project/Area Number |
20890017
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 夏男 Tohoku University, 病院, 助教 (50466562)
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Keywords | 肺炎球菌性急性肺炎 / B-1細胞 / activation-induced cytidine deaminase(AID) / 抗ホスホリルコリンIgM抗体 / iNKT細胞 / 接触性過敏反応(CS) / ELISPOTアッセイ |
Research Abstract |
急性細菌性肺炎発症から治癒に至る早期経過の中で、B-1細胞を介した自然免疫応答での治療効果・機構の研究を発展させた。 B-1細胞を機能的に欠損するxidマウスで肺炎球菌気道感染増悪が認められ、従来腹腔・静脈投与モデルに限局していた本研究が前進した。FACSで精製した腹腔B-1細胞または感染後活性化した脾臓のB-1細胞をxidマウスヘ同種移植すると、xidの肺炎脆弱性が有意に改善され治療効果を示した。一方ナイーヴな脾B-1細胞移植では、充分な治療効果を認めなかった。B-1細胞の宿主保護的な応答には、感染後体腔での活性化と、脾臓へのmigration、そして感染微生物に対する迅速な獲得型IgM抗体産生などの機能が必要であると推測された。iNKT細胞欠損マウスではB-1細胞の活性化が認められず、また獲得型早期IgM産性能も欠如している点を、ホスホリルコリン(PC)産生脾臓細胞に対するELISPOTアッセイで確認した。抗PC IgM産生脾細胞は急性肺炎後12時間で増加し、この増加とハプテンであるPCへの接触性過敏反応(CS)が連鎖している点を初めて観察した。 Activation-induced cytidine deaminase(AID)を欠損するマウスで肺炎球菌性肺炎増悪を認め、人での高IgM症候群2型で生じる病態が動物実験で初めて再現された。更にこのAID欠損マウスに野生型由来の腹腔B-1細胞をあらかじめ細胞移植すると肺炎治療効果が得られた。この治癒過程で、脾臓内の抗Pc IgM産生細胞は野生型由来B-1細胞移植後に有意な増加を示した。B-1細胞は上流のiNKT細胞による何らかの活性化機構で急性気道感染後に活性化し、微生物構成ハプテンに特異的な獲得型IgMをAID依存的に産生し、感染後2日以内の急性期に宿主を保護する免疫応答に深く寄与すると推察された。
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