2008 Fiscal Year Annual Research Report
コネキシン遺伝子の癌抑制機構の解析と治療への応用に関する研究
Project/Area Number |
20890036
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐藤 洋美 Chiba University, 大学院・薬学研究院, 助教 (30506887)
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Keywords | 遺伝子 / 癌 / 薬学 |
Research Abstract |
平均寿命が延びるにつれ医療において癌治療の重要性はさらに高まっているが、近年はゲノム解析の進歩により、癌遺伝子の研究が進み、遺伝子治療の重要性が問われている。私が研究対象としているのは、細胞間ギャップ結合(GJ)を規定する遺伝子群・コネキシン(Cx)である。今年度はCxの発現制御がプロモーター領域のメチル化による影響を受けることに着目して、既に有効性が認められている腎細胞癌(RCC)に対するCx32の化学療法薬,vinblastine(VBL)耐性改善作用を、脱メチル化薬を用いて再現し、またこの作用におけるCx32の関与をRNAi法で確認できた。この作用点の一端として遺伝子強制発現株を用いた以前の検討から予測された通り、VBLが基質となるP糖タンパク質、およびこれを規定するMDR-1遺伝子の発現に与える影響が示唆された。さらにRCCをヌードマウス背部皮下に移植するモデルの作成に成功した。今後、in vitroでみられた効果を生体内の環境で再現できるか確認するために、このモデルの確立は重要である。また、新規に着手した悪性中皮腫に対するCx43の作用は、転移性を予測する遊走能力についてはほとんど影響を及ぼさないものの、緩やかな増抑制作用を示し、癌悪性化形質の改善が示唆された他、化学療法薬cisplatinに対する感受性増強に寄与することが示された。この結果は進行性で薬剤抵抗性の悪性中皮腫治療に開発の糸口を見出す可能性がある。
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