2008 Fiscal Year Annual Research Report
ポストコンディショニングの細胞内シグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
20890037
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
西田 洋文 Chiba University, 大学院・医学研究院, 助教 (80513043)
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Keywords | ミトコンドリア / ATP感受性K+チャネル / ポストコンディショニング / PI3キナーゼ / グリメピリド / オキシトシン |
Research Abstract |
虚血心筋保護においてミトコンドリア内膜に存在するATP感受性K+(mitoKATP)チャネルと再灌流障害サルベージキナーゼとも呼ばれるPI3-kinase(PI3K)が重要な役割を担っている。本研究では,薬理学的ポストコンディショニングにおけるmitoKATPチャネルとPI3Kのクロストークに関してウサギ心筋梗塞モデルを用いて検討した。PI3Kを活性化する薬物であるグリメピリド(10μM)を虚血後10分間作用させると有意に梗塞サイズが減少した。PI3K阻害剤であるLY294002(5pM)の存在下ではグリメピリドの梗塞サイズ減少効果は認められなかった。一方mitoKATPチャネル遮断薬の5HD存在下では影響がなかった。ウェスタンブロッティングにてグリメピリド作用直後の心筋組織から抽出した蛋白でPI3Kの下流にあるAktのリン酸化を検討したところ有意に増強していた。この検討ではmitoKATPチャネルとPI3Kのクロストークが明らかに出来なかったのでmitoKATPチャネルの開口増強作用を有すると考えられるオキシトシンで再検討を行った。ウサギ心室筋細胞を用いてMitoKATPチャネル活性化の指標としてフラボプロテイン自家蛍光を測定した。MitoKATPチャネル開口剤Diazoxide存在下でオキシトシン(30nM)を作用させるとフラボプロテイン蛍光は有意に増強した。MitoKATPチャネル遮断薬の5HD存在下でオキシトシンを作用させるとフラボプロテイン酸化反応は認められなかった。ウサギ心筋梗塞モデルで虚血前5分間オキシトシンを作用させると有意に梗塞サイズが減少した。この効果は5HDにて抑制されたLY294002では影響がなかった。ここまでの検討でプレコンディショニングではmitoKATPチャネルとPI3Kのクロストークが明確でないので、今後はオキシトシンを用いてポストコンディショニングでのクロストークを検討していく。
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