2009 Fiscal Year Annual Research Report
ポストコンディショニングの細胞内シグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
20890037
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
西田 洋文 Chiba University, 大学院・医学研究院, 助教 (80513043)
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Keywords | ミトコンドリア / ATP感受性K^+チャネル / ポストコンディショニング / PI3キナーゼ / グレリン |
Research Abstract |
虚血心筋保護においてミトコンドリア内膜に存在するATP感受性K^+(mitoK_<ATP>)チャネルと再灌流障害サルベージキナーゼとも呼ばれるPI3-kinase(PI3K)が重要な役割を担っている。本研究では,薬理学的ポストコンディショニングにおけるmitoK_<ATP>チャネルとPI3Kのクロストークに関してまずはウサギ心筋梗塞モデルを用いて検討した。PI3Kを活性化することがしられている食欲増進ペプチドであるグレリン(1、3、10nM)を、虚血後10分間作用させると濃度依存的に有意な梗塞サイズ減少効果が認められた。PI3K阻害剤であるLY294002(5μM)の存在下ではグレリンの梗塞サイズ減少効果は抑制された。一方mitoK_<ATP>チャネル遮断薬の5-hydroxydecanoate(5HD,500μM)存在下でも梗塞サイズ減少効果が抑制された。以上の結果を踏まえてmitoK_<ATP>チャネル開口とPI3K活性化が独立して心筋保護効果を発揮するのかクロストークして発揮しているのか確認するため、PI3K阻害剤存在下でのmitoK_<ATP>チャネル活性化指標であるフラボプロテイン自家蛍光を測定した。MitoK_<ATP>チャネル開口剤Diazoxide(100μM)存在下でグレリン(1nM)を作用させるとフラボプロテイン蛍光は有意に増強した。MitoK_<ATP>チャネル遮断薬の5HD存在下でグレリンを作用させるとフラボプロテイン酸化反応は認められなくなった。そしてPI3K阻害剤であるLY294002存在下で同様の実験を行ったところ、グレリンのフラボプロテイン酸化反応増強効果が抑制されることはなかった。以上の結果よりmitoK_<ATP>チャネルの開口とPI3Kの活性化はクロストークではなく独立して生じ、dual modeで心筋保護のメカニズムとして働いていることが示唆された。
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