2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20890038
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岩村 千秋 Chiba University, 大学院・医学研究院, 助教 (10513062)
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Keywords | 免疫学 / アレルギー・ぜんそく |
Research Abstract |
メモリーT細胞はさまざまな疾患に関与している。したがって、これを人為的に制御することができれば、ワクチンの効率化やアレルギーなど慢性疾患の抑制などが可能となる。そこで本研究では、NKT細胞によって抗原特異的メモリーT細胞を制御することを目的とする。 本研究では、in vitroでOVA特異的エフェクターTh2細胞分化を誘導し、これらをBALB/cマウスに移入して4-6週間経過したものをメモリーTh2マウスとして用いる。このメモリーTh2マウスにα-ガラクトシルセラミド(α-GalCer)を投与してNKT細胞を活性化させると、抗原が無いにも関わらず、抗原特異的なメモリーT細胞が増殖した。特に二次リンパ器官ではない肝臓における増殖が著しく、脾臓やリンパ節といった二次リンパ器官ではその増殖はわずかであった。メモリーTh1マウスを用いて同様の検討を行った結果、α-GalCerにより肝臓におけるメモリーTh1細胞の増殖も観察された。さらにIn vitroの試験から、こうしたメモリーT細胞の増殖を誘導するのはNKT細胞の産生するIL-2やIL-4といったサイトカインがメモリーT細胞の増殖を誘導することも明らかにしている。ナイLーブT細胞にはα-GalCer投与によってその増殖が認められなかったため、この現象はメモリーT細胞特異的なものと考えられる。NKT細胞のリガンドはα-GalCerのみならず、細胞内物質由来のものや、細菌由来のものがミすでに報告されている。 したがって本研究の結果には、NKT細胞の活性化が新たなメモリーT細胞の維持機構となる可能性が考えられる。またメモリーT細胞を効率的に誘導・維持させるために、NKT細胞の活性化が有効になる可能性を秘めている。
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