2009 Fiscal Year Annual Research Report
shRNAを搭載したアデノ随伴ウイルスによるマウス肺特異的な遺伝子抑制系の確立
Project/Area Number |
20890052
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鹿毛 秀宣 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 助教 (80513390)
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Keywords | アデノ随伴ウイルス / short hairpin RNA / RNA干渉 / びまん性肺疾患 / Tgfβ1 |
Research Abstract |
我々は平成20年度にアデノ随伴ウイルス血清型2/5にTgfb1に対するshort hairpin RNA(shRNA)を搭載し(AAv2/5-shTgf),マウス肺胞上皮由来のLA-4細胞においてTgfb1のmRNAとタンパクの発現を抑制することに成功した. この結果より我々は次に動物実験に移行する予定であったが,その前段階としてこの系の有効性を調べる方針とした。まずは我々の系とlipofection法の遺伝子導入効率を比較した.その結果,AAV2/5はLA-4細胞においてはほぼ100%の効率を認めるのに対し,lipofection法では約50%にとどまり,毒性も高かった.また,AAV2/5を用い,肺癌培養細胞H23とH1975に対する遺伝子導入実験を行った.その結果,H23細胞への遺伝子導入効率は高かったが,H1975細胞では低かった.また,AAV5の細胞侵入経路はplatelet derived growth factor receptor(PDGFR)であるとする報告があるため,各細胞のPDGFRaとbの発現を調べたところ,導入効率とPDGFRの発現量の間に相関は認められなかった.さらには,肺胞マクロファージ由来の培養細胞であるMH-Sに対するAAV2/5の遺伝子導入効率を調べたところ,3T12-3と同等であり,LA-4と比較して約100倍低かった. 以上より,我々はin vitroで肺胞上皮細胞に遺伝子を導入するにはlipofectionと比べてAAV2/5が優れていることを見出した.また,in vivoにおいてAAV2/5は肺胞マクロファージと比べて肺胞上皮細胞へ遺伝子を導入する確率が高いものの,肺胞上皮由来の細胞であっても病的状態にあるものは効率が相対的に低下する可能性があり,その遺伝子導入効率を予測することは困難であることを見出した.
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