2008 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜および子宮内膜症におけるAMPキナーゼの機能解析
Project/Area Number |
20890058
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹村 由里 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 医員 (00453697)
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Keywords | 子宮内膜 / 子宮内膜症 / AMPキサーゼ |
Research Abstract |
着床期の受精卵と子宮内膜の炎症反応様の相互作用が着床に不可欠と考えられている。AMPキナーゼ(AMPK)は、エネルギー維持の調節因子で、炎症反応の調節作用も持つこと、子宮内膜においてAMPKのリン酸化を認めることから、着床期の子宮内膜のエネルギー維持や炎症反応の調節にAMPKが深く関与しているのではないかと考えられる。AMPKの子宮内膜における機能について、特に着床とAMPKとの関係を明らかにして、着床障害による不妊症に対する新たな治療戦略につなげたい。同意の下、良性婦人科疾患の手術検体より得られた各種月経周期の子宮内膜の組織を用いて、AMPKの発現を調べた。AMPKの発現には月経周期による変動が見られた。今後はさらに検体数を増やして着床との関わりを確認したい。 子宮内膜症に対する従来の治療法はエストロゲン抑制や排卵抑制が不可避であるため、これらとは異なる機序の新しい治療法として、AMPKを活性化して作用する糖尿病治療薬であるメトフォルミンに注目し検討したところ、細胞レベルではメトフォルミンが子宮内膜症に抑制的に作用することがわかった。そこで、動物実験レベルで検討し、臨床応用を目指したい。同意の下、子宮内膜症性卵巣嚢胞の手術検体より得られた子宮内膜症組織を用いて、AMPKの発現を調べた。子宮内膜症組織にはAMPKの発現が見られ、メトフォルミンは子宮内膜症細胞のAMPKを活性化して作用していることがわかった。今後はマウス子宮内膜症モデルを作成してさらに検討したい。
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