2008 Fiscal Year Annual Research Report
顎顔面骨再生治療応用のためのbFGF徐放性人工骨の基礎的研究
Project/Area Number |
20890059
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井川 和代 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 研究員 (90512111)
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Keywords | 生体材料 / 再生医学 / 移植・再生医療 |
Research Abstract |
本研究では、吸収置換性の良いリン酸三カルシウム(TCP)を主成分とする人工骨の表面をトレハロースで処理し、生理活性物質であるbFGFを搭載することで効率的な骨形成を図り、骨欠損に対する治療法を確立することを目的としている。本年度は、TCPとトレハロースの作用機序の解明とトレハロース処理したTCPからのbFGFの放出能の評価に関する基礎研究を中心に行った。 まず、TCPとトレハロースの作用機序を解明するために、TCP、トレハロース、T表面をトレハロースで処理したTCPの3種類の試料を作成し、SEM(JCM- 5700)により分析したところ、トレハロース処理による表面形状変化は特に認められなかった。そこで、DSC(示査走査熱量測定)を用いて、トレハロースによる表面処理濃度を0%、5%、10%、20%としたところ、濃度が高くなるにつれトレハロース特有のピークがシフトすることからTCPとトレハロースの相互作用が示唆された。現在、X線回折(XRD)、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、X線光電子分光分析(XPS)を用いて相互作用の結合様式の解明を行っている。 つぎに、トレハロース処理したリン酸カルシウムからのbFGFの放出能の評価するために、マウス由来の骨芽細胞であるMC3T3-E1細胞を20,000cells/we11で24ウェルに播種し、トレハロース処理したTCPと処理しないTCPとCO2インキュベータ共培養し、b FGFを添加してMTTアッセイしたところ、トレハロース処理した方が処理しないものより細胞増殖能が高まった。そこで、トレハロース処理したものとしないTCP 200mgにチトクロームC 250μg/mlを37℃,6時間反応後ビシンコニン酸(BCA)アッセイを用いて測定したところ、トレハロース処理したものはタンパク質の徐放を2次関数的に行うことが分かった。bFGFの徐放量を制御に関して現在、トレハロースの至適濃度の検討を行っている。
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