2008 Fiscal Year Annual Research Report
心房細動における炎症の関与-マクロファージの役割に関する検討と治療標的の検索
Project/Area Number |
20890061
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
笹野 哲郎 Tokyo Medical and Dental University, 難治疾患研究所, 特任助教 (00466898)
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Keywords | 心房細動 / 心房リモデリング / マクロファージ / パラクライン作用 |
Research Abstract |
心房細動時の心房の炎症・線維化メカニズムにおけるマクロファージの役割を検討するため、2つの実験を行い、以下のような実験成果を得た。 1. 心房線維化におけるマクロファージの役割の検討-in vitro 心房細動の病態下において、その進行に心筋細胞とマクロファージの間のオートクライン/パラクライン作用が関与していることを示す所見を得た。特に、伸展刺激によって心房筋細胞がATPを短時間放出することが判明し、それらが心筋細胞自身及びマクロファージのサイトカイン等の産生を促していることが認められた。さらに、この心房筋からのATP放出に関与する分子を同定した。 心房細動の際には、心房は高頻度に興奮するという電気生理学的な変化と、心房内圧の上昇による圧負荷を受けるという機械的変化が生じるが、心房の伸展刺激がオートクライン/パラクライン作用の直接の誘導因子であることが判明した。一方、心房筋細胞の高頻度刺激では、このATP放出に関与する分子の発現が誘導されることがわかり、心房細動の病態下では高頻度刺激と伸展刺激が相乗的に作用していることが示唆された。 2. 心房細動時に生じる心房線維化モデルマウスの作成 心房細動の初期に見られる心房筋の炎症を研究の対象とするため、心房の炎症及び線維化の動物モデル作成を試みた。現在までのところ、低酸素飼育マウスモデル及び高血糖マウスモデルによってある程度の炎症を伴う組織学的変化を誘導することが可能となった。現在最も効率の良いプロトコールを検索中である。
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