2009 Fiscal Year Annual Research Report
顎口腔領域の修復・再生および破壊に関わる幹細胞の性状解析と放射線生物学的検討
Project/Area Number |
20890065
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
阿部 成宏 Tokyo Medical and Dental University, 医歯学総合研究科, 特任助教 (00510364)
|
Keywords | 幹細胞 / 歯髄幹細胞 / 放射線治療 / 癌幹細胞 / 自己複製能 / 幹細胞マーカー |
Research Abstract |
1.修復・再生に関わる幹細胞:[目的]われわれはヒト根未完成歯・根尖部歯髄由来細胞(Apical pulp-derived cells ; APDCs)の性状解析と再生医学への応用を視野に入れた基礎的研究を行ってきた。その結果、APDCsの中に、神経堤幹細胞様細胞が存在している可能性を見出した。そこで、Neurosphere法を用いてそれらを単離し、性状解析を行った。また、根未完成歯へ放射線照射を施行すると、根形成阻害が生じることは以前から報告されていたが、それらのメカニズムを示唆するような報告が存在しないことから、それらを検討した。[結論]Sphere形成細胞(Pulpal sphere-forming cells ; PSFCs)は、神経堤細胞系統へと分化することができる細胞集団であることを見出した。さらに、APDCsとPSFCsを用いて、放射線生物学的に検討した結果、若年者の歯根形成期にある歯が放射線照射を受けると、根尖部歯髄幹細胞様細胞は、むしろ放射線抵抗性を示し、細胞死によって硬組織形成細胞の供給が不能になるのではなく、機能細胞への分化が抑制される結果、歯根形成不全に至る可能性が示唆された。 2.破壊に関わる幹細胞:[目的]今回われわれは、ヒト口腔癌細胞株(HSCシリーズ)を用いて、sphereを形成するCSCs様の細胞集団を分離し、その性状解析と放射線感受性に関する検討を行った。[結論]口腔癌幹細胞マーカーとして報告されたCD133やCD44に関しては、われわれの結果では、分化マーカーを発現していないSphere形成細胞であってもCD133の発現を認めなかった。癌幹細胞特異的マーカーに関する研究は、今後より詳細な検討が必要である。今回、われわれは、ヒト口腔癌細胞株中に存在する未分化細胞集団を分離し、分化能ならびに放射線生物学的に検討を行い、必ずしも放射線抵抗性を示さない可能性が示唆された。
|