2008 Fiscal Year Annual Research Report
炎症時使用薬物の血液脳関門PGE2排出阻害による中枢神経副作用発生機構解明
Project/Area Number |
20890079
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
赤沼 伸乙 University of Toyama, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 助教 (30467089)
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Keywords | 血液脳関門 / PGE2 / プロスタグランジン / MRP4 / β-ラクタム抗生物質 / 有機アニオン輸送担体 |
Research Abstract |
炎症治療を目的として非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、そして炎症を伴う細菌感染症時には抗生物質が広く用いられているが、これらの薬の一部は眠気を強く引き起こすことや、脳炎、けいれんなどの中枢症状の発症が報告されている。これらの中枢神経症状は脳におけるPGE2を介したシグナル伝達系が関与していると考えられ、これらの薬が脳内PGE2濃度変動を引き起こすか探ることは重要である。脳において合成されたPGE2は不活化されることなく、過剰な脳内PGE2蓄積回避のため、血液脳関門を介して促進的に排出されていると考えられる。そこで、本研究では炎症時に用いられる薬物によって、脳からのPGE2消失が阻害されるかを明らかにすることを目的とした。β-ラクタム抗生物質であるcefmetazole及びcefazolinを静脈内投与後、mouse brain efflux index法によって[3H]PGE2の脳からBBBを介した排出を検討した結果、[^3H]PGE2投与後40分における有意な脳内残存率の上昇が認められた。血液脳関門にはPGE2輸送担体としてOat3及びMRP4、そしてPGE2を基質とするか不明ではあるもののOatp2が発現している。Cefmetazole及びCefazolinはOatp2及びMRP4の基質であることが報告されており、脳からBBBを介した[^3H]PGE2排出を阻害する化合物の特徴としてとして、Oatp2及びMRP4の基質である化合物が脳からの[^3H]PGE_2排出を阻害すると考えられる。一方で、MRP4の基質ではなくOatp2の基質であるcefalexin及びcefsulodin静脈内投与条件下において有意な変化は認められなかった。よって、静脈内投与によって脳からのPGE2排出を阻害する化合物の輸送担体基質プロファイルとしてMRP4が重要である可能性が考えられた。
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