2008 Fiscal Year Annual Research Report
筋特異的ユビキチン連結酵素MAFbxの不全心病態形成における役割の検討
Project/Area Number |
20890085
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
薄井 荘一郎 Kanazawa University, 附属病院, 助教 (50507043)
|
Keywords | 心不全 / 心肥大 / ユビキチンプロテアソーム / シグナル伝達 |
Research Abstract |
蛋白品質管理機構である、ユビキチンープロテアソームシステムが、心不全治療の新たな介入点となりうるか否かを探求することを目的として研究を進めている。心不全の病態形成における解析を行うために、マウスを用いて圧負荷誘導性の心肥大・心不全モデルの作成を行った。12から16週57/B6マウスに、気管内挿管後、人工呼吸器管理下に左第二肋間を切開、鈍的に横行大動脈を露出させ28G注射針とともに結紮し、その後注射針を引き抜いて横行大動脈に狭窄を作成した。術後2週で有意な求心性の左室肥大、術後4週で有意な肺うっ血が起こることを確認した。ユビキチンープロテアソームシステムのなかで、筋組織に特異的に発現することが報告されているユビキチン連結酵素MAFbxに注目し、MAFbxの発現レベルを圧負荷誘導性の心不全モデルで検討した。MAFbxは、コントロールでわずかに発現しており、術後1週、2週と時間依存的にその発現レベルが有意に増加していくことを、ウエスタンブロット法で確認した。このことは、MAFbxが心肥大病態形成に関与する可能性が示唆された。さらに、MAFbxの役割を明らかにするために、MAFbx欠損マウスに圧負荷モデルを作成した。大動脈結紮後2週で野生マウスでは左室重量の増加が確認されたが、MAFbx欠損マウスでは圧負荷による左室肥大は有意に抑制された。さらに、大動脈結紮後4週で野生マウスでは肺重量の増大を認めたが、MAFbx欠損マウスの肺重量は増加していなかった。以上の結果からMAFbxは圧負荷に伴う心肥大および心不全の進行、心臓リモデリングを制御していることが明らかになった。 今後、心臓の線維化や胎児遺伝子発現を評価するとともに、MAFbxの心臓リモデリング制御のメカニズムに迫るべく、網羅的遺伝子解析を行う。そのプロファイリングの解析からMAFbxの新規ターゲットの同定を試みる。
|