2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト歯髄組織幹細胞の樹立効率向上とiPS細胞化の検討
Project/Area Number |
20890091
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
川口 知子 Gifu University, 医学部附属病院, 医員 (30509815)
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Keywords | 歯学 / 組織幹細胞 / 歯髄 |
Research Abstract |
我々は、種々の形成段階にあるヒト智歯より歯髄組織幹細胞(Dental Pulp Stem Cell:DPSC)を既に150ライン樹立・保有し、個体差の検証を行ってきている。その結果、より未熟な形成期の智歯歯髄から得られるDPSCは高い増殖能・分化能を持つが、継代培養により喪失することを明らかにしてきた(J Dent Res)。また、智歯由来DPSCは、低酸素(3%)、低密度で培養することでコロニー形成能・増殖能が増強することも明らかにしつつある。更には、京都大学山中研究室と共同で、智歯由来DPSCからiPS細胞誘導を試み、iPS細胞様のコロニーを高率に得、DPSCがiPS細胞の源として活用可能であることが示されつつある。 そこで、本年度は、保有するヒト智歯由来DPSC(歯冠完成期、歯根完成期)を用い、細胞密度を変えて通常酸素(21% O_2)・低酸素(3% O_2)培養を行い、増殖能・分化能をDoubling timeの測定やALP activity・von Kossa染色を用いて比較した。また、低酸素状態の影響を評価するために低酸素で誘導されるHIF-1 mRNA発現、および酸化ストレス性因子を併せて観察した。また、京都大学再生医科学研究所の山中先生との共同で、ヒト智歯由来DPSCのiPS細胞誘導を行い、形態的にiPS細胞様コロニーが誘導されている(現在、in vivoにて最終確認中)。この過程で、歯冠完成期と歯根完成期のDPSCでコロニー形成効率に違いのあること(未熟なものである程、誘導効率が高い)が示され、未熟なDPSCでは、現在、iPS細胞の誘導で大きな問題となっている癌遺伝子(c-Myc)を除くOct3/4、Sox2、Klf4の3遺伝子の導入でも高率にiPS細胞様コロニーが誘導されている。また歯冠完成期と歯根完成期での誘導効率(コロニー形成)を比較検討した。
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Research Products
(4 results)