2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20890092
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
宮崎 康雄 Gifu University, 医学部附属病院, 医員 (60509818)
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Keywords | 口腔がん / 低酸素 / EMT / 浸潤 / 転換 |
Research Abstract |
本研究は腫瘍内低酸素環境が上皮-間葉転換(epitherial-mesenchymal transition; EMT)の誘因となることを証明することを目的とする。このため本年度は(1)ヒト口腔がん細胞SASの低酸素培養をおこない、(2)上皮細胞・間葉系細胞に特異的な細胞表面抗原の発現変化を評価した。ヒト口腔がん細胞SASの低酸素培養では細胞培養の至適酸素濃度を決定し、低酸素培養においてもその増殖能に変化がみられないことを確認した。他のヒト口腔がん細胞で同様の実験を行ったところ、細胞種によっては低酸素培養において増殖能の低下が認められるものを認め、細胞種により低酸素環境に対する反応性の違いが存在することが示唆された。次に低酸素環境下で培養したヒト口腔がん細胞SASにおいて上皮細胞・間葉系細胞に特異的な細胞表面抗原の発現変化を評価した。この結果、低酸素培養を行ったヒト口腔がん細胞SASにおいて上皮細胞・間葉系細胞に特異的ないくつかの細胞表面抗原の発現に変化が生じることを確認した。また、この実験でも細胞種により細胞表面抗原の発現変化に違いが認められ、低酸素環境に対する反応性の違いが細胞種間に存在することが確認できた。上記結果より、低酸素環境はヒト口腔扁平上皮がんに対する大きな刺激となり、がん細胞におけるEMTの誘因となる可能性が示唆された。また、低酸素環境に対する反応に細胞種間の差異を認められたことは、口腔がんの臨床知見に矛盾しない。これらの結果を裏付けるため、現在低酸素環境におけるEMT関連遺伝子の変化を観察中である。
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