2008 Fiscal Year Annual Research Report
臍帯血移植後の腫瘍抗原およびアロ抗原に対する免疫反応の解析
Project/Area Number |
20890096
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西田 徹也 Nagoya University, 医学部附属病院, 医員 (80508929)
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Keywords | 臍帯血移植 / 腫瘍反応性T細胞 / 抗原提示細胞 / 成人T細胞性白血病 |
Research Abstract |
臍帯血移植後の腫瘍細胞に対する免疫反応を解析するためには、臍帯血移植後患者末梢血単核球から腫瘍反応性T細胞を誘導可能な腫瘍抗原を発現する抗原提示細胞が必要である。T細胞には抗原提示能があることが報告されているため、T細胞系腫瘍である成人T細胞性白血病(ATL)細胞の抗原提示細胞としての可能性について検討した。 ATL細胞は、IL-2存在下でCD3/CD28ビーズで活性化することにより、細胞接着分子(CD54/CD58)や共刺激分子(CD80/CD86)の細胞表面上での発現が増強する。また、活性化後のT細胞がHTLV-1感染細胞であることは、HTLV-1 gag specific primerを用いたRT-PCRにて確認した。実際に、活性化ATL細胞が抗原提示細胞として細胞障害性T細胞を誘導することができるかを確認するために、2名のATL患者から樹立した活性化ATL細胞を、HLAが異なる健常ドナー末梢血単核球と共培養したところ、活性化ATL細胞に細胞傷害性を示し、ドナー活性化T細胞および患者・ドナーのEBウイルス感作Bリンパ球(B-LCL)を傷害しないT細胞株を樹立することができた。この結果より、活性化ATL細胞は、腫瘍細胞としての特徴を維持したまま、抗原提示能を獲得し、臍帯血移植後患者末梢血単核球からの腫瘍反応性細胞の誘導に用いることが可能であると考えられた。 そこで、臍帯血移植後抗腫瘍効果が得られた3名のATL患者の移植後末梢血単核球を患者活性化ATL細胞で刺激を行い、ATL反応性T細胞の誘導を試みた。これまでに試みた3名からは、臨床上抗腫瘍効果が認められたにも関わらず、ATL細胞に細胞障害性を示すT細胞株は樹立されなかった。今後、他症例での解析やNK細胞の関与についての解析が必要である。
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Research Products
(3 results)