2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20890097
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
南 陽介 Nagoya University, 医学部附属病院, 医員 (60513752)
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Keywords | 白血病 / 幹細胞 / キナーゼ阻害剤 / BCR-ABL / mTORシグナル |
Research Abstract |
最近、腫瘍細胞の全ての細胞は少数の癌性幹細胞(Cancer stem cells)に由来し、この癌性幹細胞が正常細胞に類似した分化過程を経ることによって多彩な腫瘍組織を生み出しているということが、白血病をはじめいくつかの癌腫で示唆されている。慢性骨髄性白血病(CML)に対するABLキナーゼ阻害剤イマチニブ治療の様に、白血病に対し効果的な治療法が生み出されつつあるものの、長期的な治癒を得る為には白血病幹細胞(Leukemia stem cells)を同定することとともに、それらを標的として選択的に細胞死誘導させる様な治療法を開発していくことが必要であると考えられている。また、白血病幹細胞は、mTORシグナルをアベラントに活性化していることが報告されている。Ph陽性白血病幹細胞の薬剤耐性機序やその克服戦略の検討のため、Ph陽性白血病患者細胞を免疫不全NOGマウスに移植継代する系を用いた。白血病NOGマウス脾細胞をストローマと共培養し、ABLキナーゼ阻害剤イマチニブとmTOR阻害剤エベロリムス(RAD001)処理を行なった。静止期状態にあるCD34陽性分画は、BCR-ABLの脱リン酸化にも関わらずイマチニブに不応性を示した。一方、nMレベルのエベロリムスはそれらの分画を含めて細胞死を誘導するとともに、T315I変異をもつイマチニブ耐性白血病細胞株に対しても有効であった。更に、詳細なバイオマーカーの検討、およびin vivoにおける効果を検討中である。以上の結果より、Ph陽性白血病幹細胞とT315I変異に対するイマチニブ耐性に対して、エベロリムスが有望な選択肢となることが示唆された。
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