2008 Fiscal Year Annual Research Report
内皮細胞における抗原抗体反応後に起こるシグナル伝達に関する研究
Project/Area Number |
20890098
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岩崎 研太 Nagoya University, 医学部, 寄附講座助教 (10508881)
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Keywords | 移植免疫 / シグナル伝達 / 生体防御 / 転写因子 / 異種移植 |
Research Abstract |
人大動脈内皮細胞、またはその内皮由来細胞EA.hy926を抗人HLA抗体にて刺激後、細胞保護に働くとされるPI3K/AKTシグナルを、リン酸化AKT抗体を用いたウェスタンブロッティングにより確認した。刺激後1時間でAKTの顕著なリン酸化が確認された。また、RT-PCRを用いて、細胞保護遺伝子であるFerritin/HO-1のmRNAを測定したところ、刺激後24、48時間経過した細胞では、約2〜3倍程度の誘導が確認された。また、今年度の成果として、抗酸化物質であるtBHQにより、Ferritin/HO-1遺伝子の転写を制御している転写活性領域の一つであるAntioxidant responsive element (ARE)の活性化が、PI3K/AKTのシグナル伝達に依存することを証明した。そこで、tBHQと同様に抗原抗体反応後にFerritin/HO-1のAREを活性化していると考え、ルシフェラーゼアッセイにて確認したところ、約2〜3倍程度の活性化が、抗体処理24時間後に確認された。また、このAREの活性化に寄与しているb-zipファミリーの転写因子に注目したところ、NFE2-related factor 2 (Nrf2)の発現上昇が確認でき、さらにchip assayによりNrf2が抗体処理によりAREに結合できることを確認した。 これらの結果は抗原抗体反応後に起こる一連の補体の活性化・炎症・凝固から細胞が自己を防御するためにPI3K/AKT経路を活性化させ、さらに下流にある細胞保護遺伝子を発現させることにより、それを達成していると考えられる。またこのことは、抗原抗体反応による初期の障害を食い止める、もしくは細胞を抗酸化物質等により前処理させることにより細胞保護の達成を容易に出来る可能性を示唆している。
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