2008 Fiscal Year Annual Research Report
医系キャンパス型緩和デイケアと従来型プログラムとの比較
Project/Area Number |
20890101
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
阿部 まゆみ Nagoya University, 医学部, 特任講師 (80467323)
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Keywords | 緩和デイケア / ライフトピアサロン / QOL / セラピー / STAS-J |
Research Abstract |
わが国のがん医療現場では、在院日数の短縮化が図られる中、地域医療の受け皿の整備は遅れ、心身に不安を抱える患者と家族に医療サービスが行き届いていない現状にある。本研究の目的は、がん患者の自律的な力を引き出す緩和デイケア・プログラムを実践し、対象者のQOLとADLの維持・向上に働きかけ、その効果をSTAS-J(緩和ケア評価尺度)を用いて明らかにするものである。昨年11月に愛知がんセンター愛知病院緩和ケア病棟に、同年12月に名古屋大学医学部大幸キャンパス内に緩和デイケアサロンを立ち上げた。毎週1回開催し、参加者の参加目的に併せてプログラムを施行、経過観察を行った。愛知病院緩和デイケアの参加者は、外来7名、入院9名であった。スタッフは専従の他、医師、地域ボランティアも積極的に参加し、参加者ニーズに合わせた制作やレクリエーションを行った。大幸キャンパス「ライフトピアサロン」の参加者は13名、疾患部位や経過(1〜5年)は様々であった。スタッフは看護教員、臨床心理士、がん看護専門看護師養成課程の学生等が参加した。プログラムは、参加者同士の交流、作業療法、レクリエーションを行った。その結果双方の参加者は、がんと折り合いをつけて生活する中で、思いを表出し共感を得る場を必要としていることがわかった。特に「ライフトピアサロン」参加者は、新しい情報の収集、同病者同士話すことでの不安の緩和、治療体験や治療に対する自己決定への共感・確認などを求める傾向がみられた。さらに、参加満足度調査から、サロンに集うことが闘病意欲に寄与していることが明らかになった。今後は大学で実施する利点を生かし、学生の積極的な参加を促し、人材育成の場として活かすとともに、学内施設の有効利用を通してプログラムの多様化を図っていく予定である。従来型緩和デイケアとキャンパス型プログラムを一例に、STAS-Jを用いて患者のニーズに添ったデイケアのあり方を検討する。
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