2009 Fiscal Year Annual Research Report
非侵襲脳計測を用いたパニック障害発症に関わる神経ネットワークの解明
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20890104
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
西村 幸香 Mie University, 大学院・医学系研究科, リサーチアソシエイト (60456738)
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Keywords | パニック障害 / 不安 / 前頭葉 / 認知 / 記憶 / 情動 / 自律神経反応 / 大脳辺縁系 |
Research Abstract |
本研究では、パニック障害の発症に関わるメカニズムを明らかにするために、下記の研究を行った。 パニック障害患者に対しては、初発パニック発作時の臨床的特徴がその後の転帰に及ぼす影響について調査を行った。その結果、初発パニック発作を自宅で体験した群は、初発パニック発作時に死んでしまうのではないか、おかしくなってしまうのではないかという精神症状がより多く見られたのに対して、外出時や電車などに乗車中に体験した群では、めまいや発汗などの自律神経症状が多く見られた。さらに、3年後の転帰調査では、初発パニック発作を自宅で体験し、その後、クリニック受診時には電車などの乗車中に発作を体験し、発作場所が変化した群では、自宅でのみ発作が生じる群と比べて、転帰不良であることが確認された。これらの結果より、パニック障害患者では、発症時の臨床的特徴によってサブタイプに分けられる可能性を示した。成果については、現在、論文投稿中である。 また、パニック障害の病態に関与するとされる不安や情動と記憶の関係について、健常成人14名を対象として、情動oddball課題(Strange et al., 2003)を施行し、施行中の皮膚電気反応(SCR)についても測定を行い、測定前後の状態不安や疲労、及び特性不安や身体感覚に関する質問紙の記入を行い、多角的に評価した。その結果、不快な写真呈示時のSCR値と測定開始前の不安が有意な相関を示した。これらの結果より、強い不安は、測定時の情動や記憶と関連することが示唆された。成果については、2009年の日本神経科学大会にて発表を行った。
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