2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20890109
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 淳 Kyoto University, 医学研究科, 特定研究員(科学研究) (30511894)
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Keywords | ホスファチジルセリン / カルシウム / イオノフォア / ソーティング |
Research Abstract |
前年度までに、カルシムイオノフォアにより細胞を刺激すると、15分程度でPSが速やかに露呈することを明らかにしている。この時、細胞外カルシウムを除いてやれば、小胞体などに蓄えられたカルシウムを用いて、細胞がバーストすることなくPSを露呈することが分かった。この反応がカルシウム依存的であることを確かめる為に、細胞内カルシウムをBAPTAによりキレートした後、イオノフォアで刺激したところ、PS露呈は完全に阻害された。次に、PS露呈の維持にカルシウムが必要であるかを調べる為に、イオノフォアによりPSを露呈した細胞の細胞内カルシウムをBAPTAによりキレートした。すると、カルシウムの除去によりPSが再び細胞膜内側に局在化したことから、この系においては、細胞が生きたままPSを露呈している可能性が示唆された。そこで、イオノフォアによりPSを露呈した細胞をフローサイトメトリーによってソーティングし培養できるか確かめた。すると、PSを露呈した細胞のほとんどが、24時間の培養により、PSを細胞膜内側に偏在化させ増殖し始めることが分かった。これは、培養の間にイオノフォアが失活することで細胞内カルシウムが通常状態に戻った結果、細胞表面のPSが再び細胞膜内側に局在化したと解釈できる。この結果を踏まえ、細胞をイオノフォアにより刺激後、PSを速やかに露呈した細胞群(上位5%以内)をソーティングし培養した。この刺激とソーティングの操作をイオノフォアの濃度を段階的に下げながら、十回以上繰り返すことで、親細胞においてはPS露呈を誘導しない低濃度のイオノフォアによっても、速やかにPSを露呈する細胞を得ることができた。細胞が生きたままPSを露呈する系を樹立し、それを用いて、PS露呈に関わる分子の同定に有用な変異細胞を樹立したところに意義があると考える。
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Research Products
(2 results)