2009 Fiscal Year Annual Research Report
肺修復及び肺癌発生に対するインターロイキン-6ファミリーサイトカインの役割
Project/Area Number |
20890116
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木田 博 Osaka University, 医学部附属病院, 特任助教(常勤) (80512988)
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Keywords | 気道上皮幹細胞 / 肺腫瘍 / ウレタン / Stat3 |
Research Abstract |
我々はCD31^<neg>CD45^<neg>CD34^<pos>Sca-1^<pos>分画として報告されたBronchio-Alveolar Stem Cell(BASC)がナフタレン気道上皮傷害モデルの気道上皮修復の過程で増加することや、気道上皮特異的Stat3ノックアウトマウス(Stat3^<Δ/Δ>)ではナフタレン投与前後でのBASC分画がコントロールマウス(Stat3^<flox/flox>)と比較して減少することを前年度、見出したが、我々が測定したBASC分画は報告されているより遥かに多く、また分画をSortし、RNA定量化を行った結果、我々がSortしたBASC分画は気道上皮幹細胞以外の細胞と他細胞の混成集団であると考えられ、現時点ではBASC分画の増加を真の気道上皮幹細胞増加とするには時期尚早であると考えられた。 そこで次に我々は、Stat3^<Δ/Δ>とStat3^<flox/flox>にウレタン(1mg/g体重)を腹腔内投与し、4か月後micro CTにて肺撮影を行い、生じた肺腫瘍の総体積(TV)を比較した。肺をパラホルムアルデヒドにて進展固定し、免疫組織学的検討を行った。TV測定後、気管支肺胞洗浄(BAL)を行い総細胞数(TC)をカウントした。また腫瘍をmicrodissectし、RNAや蛋白を抽出し、マイクロアレイ分析、RT-PCR、Western Blot、ELISAを行った。 平均TVはStat3^<Δ/Δ>(2.9mm^3/mouse)、Stat3^<flox/flox>(6.5mm^3/mouse)と比べ有意に減少していた(p=0.03)。免疫組織化学的検討では、Stat3^<Δ/Δ>の腫瘍はリン酸化Stat3陽性の炎症細胞に取り巻かれていた。 Surfanctant Protein CやClara Cell Secretory Proteinの免疫組織化学では、腫瘍細胞の起源はII型肺胞上皮細胞と推察された。BAL検討ではTC/TVはStat3^<Δ/Δ>でStat3^<flox/flox>と比べ有意に増加していた。ELISA解析によりStat3^<Δ/Δ>腫瘍組織ではStat3^<flox/flox>と比べTNF-αやIFN-γが増加していた。マイクロアレイ解析では炎症反応を誘起する多くの遺伝子の発現を認めた。 肺腫瘍形成には腫瘍細胞内Stat3が必要であると考えられた。今後Stat3^<Δ/Δ>にて増加していた炎症とStat3^<Δ/Δ>における腫瘍抑制効果との関連を明らかにする予定である。また腫瘍細胞内のStat3がどのような遺伝子を標的としているのか明らかにする予定である。また上記内容は2010年度American Thoracic Societyにて発表予定である。
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Research Products
(1 results)