2008 Fiscal Year Annual Research Report
重症肺気腫/呼吸不全に対するヒト脂肪幹細胞シート移植を用いた新たな治療法の開発
Project/Area Number |
20890118
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
重村 周文 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (30505508)
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Keywords | 呼吸不全 / 肺気腫 / 再生医療 / ティッシューエンジニアリング |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画: 【1:イヌ肺気腫モデルの作成と脂肪幹細胞分離・培養】 ビーグル犬肺に25U/100gのブタ膵エラスターゼを全身麻酔下・経気管的に投与し,イヌ肺気腫モデルを作成する.モデル作成の際にソケイ部より一定量の皮下脂肪組織を採取し,脂肪幹細胞(Adipose tissue-derived strmal cells:ADSC)の分離・培養を行う。さらに培養したADSC細胞をポリグリコール酸フェルトシート上に移植・付着させ,脂肪幹細胞シートを作成する。これと並行してモデルの大腿部より骨格筋を採取し,骨格筋の中に存在する筋芽細胞(Myoblast cells)の分離・培養を行い,温度感応性培養皿を用いて筋芽細胞シートを作成する。 【2:イヌ肺気腫モデルに対する脂肪幹細胞シート移植の効果・副作用に関する検討】 エラスターゼ投与7日目のイヌ肺気腫モデルに対し,気腫肺上に脂肪幹細胞及び骨格筋筋芽細胞の細胞シート移植を行う。治療効果の判定は病理組織像(免疫組織染色等)の変化と共に呼吸機能(血液ガス),運動機能(トレッドミル運動負荷テスト)の改善度で行う。治療群5頭,コントロール群5頭の比較を行う。 上記計画に基づき、イヌ肺気腫モデルの作成を開始した。肺気腫の病勢進行の程度を胸部CTによる画像解析を用いて行い、モデルの確立を確認後、細胞シートの作成に取り掛かる予定である。 本実験の意義は、イヌ肺気腫モデルに対して,ティッシューエンジニアリング技術を応用した脂肪幹細胞シート移植による治療法の効果を確認することがまず第一の目的である。またラットに対して同方法を施行した実験では認められなかった副作用の問題点が大動物でもないことを確認することを第二の目的とし,それらの結果を踏まえて,本治療法を末期重症肺気腫/呼吸不全症例に対する新しい再生医療型治療法として臨床治験段階に進めるものとする。すなわち、本実験は臨床治験前の最終段階にあたり、その結果は非常に重要である。
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