2008 Fiscal Year Annual Research Report
ポルフィロモナスジンジバリスのバイオフィルムに対する阻害物質の作用機序の解析
Project/Area Number |
20890121
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
朝日 陽子 Osaka University, 歯学部附属病院, 医員 (50456943)
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Keywords | ポルフィロモナスジンジバリス / バイオフィルム / クオラムセンシング / 阻害薬 / オートインデューサー / modified Robbins device |
Research Abstract |
緑膿菌のオートインデューサー(AI)類似化合物のうち、Porphyromonas gingivalisのバイオフィルム形成を抑制することをすでに明らかにした3種類の化合物について、バイオフィルム形成のいずれの時期(過程)-特に付着および成熟したバイオフィルムーに作用するかを検討した。バイオフィルムの初期付着に対する影響はP.gingivalis培養液中にAI類似化合物を添加したものを96穴プレートに播種し吸光度および形態により検索した。吸光度測定の結果、P.gingivalisのバイオフィルム形成を抑制した3種の化合物添加群と無添加群間に有意差は認められなかった。位相差顕微鏡による形態学的観察の結果、化合物添加群および無添加群には同程度のP.gingivalis細胞の付着やマイクロコロニーを認めた。一方、成熟したバイオフィルムに及ぼす影響は、既に確立したフローセルモデルであるModified Robbins deviceを用いてバイオフィルムを形成させた後に3種の化合物を添加し、経時的にバイオフィルムサンプルを取り出し、吸光度とATPを測定することにより検索した。化合物添加7日および14日経過後において、化合物添加群は無添加群と比較してバイオフィルム形成量に統計学的有意差はなかった。以上より今回供試した3種の化合物はバイオフィルムの初期付着および成熟したバイオフィルムに影響を与えず、バイオフィルムの成長期に作用することが示唆された。今回の実験系ではバイオフィルム形成初期と成熟期のみを評価したが、現在、バイオフィルムの成長を経時的かつ3次元的に観察することでこれらの化合物が作用する時期をさらに詳細に検索中である。
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