2009 Fiscal Year Annual Research Report
ポルフィロモナスジンジバリスのバイオフィルムに対する阻害物質の作用機序の解析
Project/Area Number |
20890121
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
朝日 陽子 Osaka University, 歯学部附属病院, 医員 (50456943)
|
Keywords | ポルフィロモナスジンジバリス / バイオフィルム / クオラムセンシング / 阻害薬 / オートインデューサー / modified Robbins device |
Research Abstract |
緑膿菌のオートインデューサー(Al)類似化合物のうち、Porphyromonas gingivalisのバイオフィルム形成を抑制することをすでに明らかにした3種類の化合物について、バイオフィルムの成長に及ぼす影響を経時的かつ3次元的に検討した。バイオフィルムの形成は既に確立したModified Robbins deviceを用いたフローセルモデルで行い、経時的に(バイオフィルム形成開始後1、3、5,7、および14日後)バイオフィルムサンプルを収り出した。サンプルの一部は吸光度測定に供し、他の一部はLive/DeadR Bacterial Viability Kitsにて染色し。共焦点レーザー顕微鏡を用いてバイオフィルム内の細菌の生・死を解析した。吸光度測定の結果、5日後までは化合物添加群と化合物無添加群(以下、コントロール群)間においてバイオフィルム形成量に有意な差は認められなかった。7日あるいは14日後に化合物添加群はコントロール群と比較して、バイオフィルム形成量が有意に減少した、共焦点レーザー顕徴鏡観察の結果、5日後までは化合物添加群およびコントロール群のいずれにおいてもマイクロコロニーの形成のみがみられた。14日後にはコントロール群と比較し、化合物添加群ではバイオフィルムの厚みの減少が認められたが、死菌の割合は増加しなかった。これらのことより、Al類似化合物はバイオフィルムの成長を抑制するものであり、バイオフィルムに対して殺菌的に作用するものではないと考えられた。さらに、Al類似化合物がP.gingivalisの赤血球凝集能に及ぼす影響を検討した。いずれの濃度(10および100μM)においても、供試した化合物添加群とコントロール群との間で赤血球凝集能に有意差は認められなかった。しかし,一部の化合物において100μM添加群では赤血球の溶血が観察された。Al類似化合物はバイオフィルム抑制法として有用であるが、化合物の濃度について検討が必要と考えられる。
|