2009 Fiscal Year Annual Research Report
IL-1βとインテグリンとの直接結合によるシグナル伝達機構の解析
Project/Area Number |
20890126
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
三枝 淳 Kobe University, 医学研究科, 特命助教 (20514970)
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Keywords | インテグリン / インターロイキン-1 / 関節リウマチ |
Research Abstract |
野生型IL-1βの配列において、インテグリン結合部位あるいはIL-1受容体(IL-1R)結合部位と想定される部分に1-5箇所の点突然変異を挿入したIL-1β変異体を数多く作成した。そして、それらの変異体について結合分析/接着アッセイを行い、IL-1Rあるいはインテグリンに対する結合能を解析した。作成されたIL-1β変異体は、A)IL-1Rとの結合能を失ったもの、B)インテグリンとの結合能を失ったもの、C)IL-1R及びインテグリンの両者に対する結合能を失ったもの、D)IL-1Rとインテグリンの両者への結合能が保たれていたもの、に分類することができた。続いて、関節リウマチ患者由来の滑膜細胞、滑膜細胞株E11、及び単球系細胞株U937をそれらの変異体で剌激し、IL-6mRNAの誘導能及び細胞内シグナルについて検討した。興味深いことに、IL-1Rとの結合能を失った変異体のいくつかは細胞内にシグナルを伝え、IL-6mENAを誘導した。したがって、IL-1βがIL-1R非依存性に細胞内にシグナルを伝達する可能性が示唆された。さらに、細胞内シグナルについて詳細に解析した。IL-1βが細胞に結合するとMAPKシグナルとNF-κBシグナルの両シグナルを活性化することが知られている。各変異体についてそれぞれのシグナル経路の活性化について解析したところ、インテグリンに結合するがIL-1Rには結合しない変異体であるmutant#93は、各細胞にMAPKシグナルを伝えるがNF-κBシグナルは伝達しないことが明らかとなった。この結果は、MAPKシグナルがIL-1Rとは無関係で、インテグリン依存性のシグナルである可能性を示唆しており興味深い。以上、細胞内でIL-1Rシグナルとインテグリンシグナルがクロストークしている可能性が示唆された。今後さらにインテグリンシグナルについての詳細な解析を行う予定としている。
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