2008 Fiscal Year Annual Research Report
大気圧低温プラズマを用いたハイブリッド人工半月板の開発
Project/Area Number |
20890131
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
桑田 卓 Shimane University, 医学部, 助教 (80509000)
|
Keywords | 半月板損傷 / プラズマ |
Research Abstract |
膝関節半月板の2/3を占める無血行野が損傷すると通常は部分切除が行われる。半月板はいったん欠損すると再生しない組織である。半月板の機能が失われた膝関節は関節軟骨の変性が進行して変形性関節症をきたす。われわれは強度をもったインプラント表面に軟骨細胞や滑膜細胞を接着させて細胞とインプラントとのハイブリッド半月板を作製することを考案した。細胞接着を促進させるために手術室でも使用可能な大気圧低温プラズマ発生装置を使用した。 平成20年度はインプラントのプラズマ処理が細胞接着に及ぼす影響を検討した。 複数の有精卵に一定時間プラズマ処理を行ったところ発育異常を生じなかった。大気圧低温プラズマ処理は生体にとって安全であると考えた。 生体に使用しうる半月板インプラントとしてシリコン、セルロース、コラーゲンを選択した。プラズマ照射にはアルゴン、窒素、酸素ガスを用いた。X線光電子分光XPSにより解析を行った。プラズマ処理によりインプラント表面の構造が変化することが明らかになった。インプラント表面を酸化させると細胞親和性が低下し窒化させると細胞親和性が増加する可能性が示唆された。 プラズマ処理したシートと処理をしないシート上で、日本白色家兎関節から採取した0.5x10^6個の軟骨細胞を添加しCO2インキュベーターに静置したのち10mlの生食で洗浄し、接着した細胞数と接着せずに流れ落ちた細胞数を計測した。プラズマ処理シート上により多くの細胞が残る傾向があった。 シート上で培養を行い、培養開始後1、7、14日後の細胞数、細胞遊走を比較した。プラズマ処理は細胞増殖や遊走を阻害しないことが明らかになった。
|