2008 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄レベルにおけるオピオイド誘発性知覚過敏の機序の解明
Project/Area Number |
20890132
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
石田 亮介 Shimane University, 医学部, 医科医員 (50508934)
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Keywords | オピオイド / 耐性 / 痛覚過敏 / レミフェンタニル |
Research Abstract |
μオピオイド作動薬であるレミフェンタニル(remi)が引き起こすといわれている、痛覚過敏および耐性を動物実験で捕らえることを目的とした。 (実験1)Sprague-Dawleyラットを用い、各群6匹ずつ以下の4群に分け、尾静脈に挿入したカテーテルから各薬剤を持続投与しTail Flick test(TF)を行った。(1)Saline、(2)remi1μg/kg/min、(3)remi10μg/kg/min、(4)remi30μg/kg/min、(1)から(3)は30分間、(4)は10分間投与の後30分間観察し、経過中10分間隔でTFを行った。結果はいずれの群においても投与後の痛覚過敏を認めなかった。 (実験2)Sprague-Dawleyラットを用い、各群6匹ずつ以下の4群に分け、尾静脈に挿入したカテーテルから各薬剤を持続投与しTFを行った。(1)Saline、(2)remi1μg/kg/min、(3)remi3μg/kg/min、(4)remi 10μg/kg/min、それぞれ120分間投与の後60分間観察し、経過中10分間隔でTFを行った。 結果は3μg群においては投与終了5分後から30分後まで、1μgおよび10μg群では同10分後より30分後まで生食群と比べて有意な逃避時間の短縮を認めた。また3mg群では持続投与開始後40分から逃避時間が有意に漸減し投与中の鎮痛効果の減弱が観察された。 これらの実験から、レミフェンタニルは長時間持続静脈内投与を行った際に鎮痛効果の減弱、および投与後の痛覚過敏を同時に引き起こすことが明らかとなり、その発生は薬剤の投与量ではなく、暴露時間に依存する可能性が示唆された。これはレミフェンタニルによる痛覚過敏を臨床と同様の持続静脈内投与で認めた初めてのモデルであり、今後のオピオイド研究に貢献するものである。 1
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