2008 Fiscal Year Annual Research Report
ジメチル-α-シクロデキストリンを用いた腫瘍細胞選択的新規抗癌剤の構築
Project/Area Number |
20890166
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
本山 敬一 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (50515608)
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Keywords | 癌 / 薬学 / シクロデキストリン / DDS |
Research Abstract |
本研究の目的は、腫瘍細胞において発現が上昇する脂質マイクロドメイン(ラフト)に特異的に作用することが示唆されているメチル化シクロデキストリンを用いて腫瘍細胞選択的新規抗癌剤を構築することである。 まず、A549細胞(ヒト肺癌上皮細胞)およびKB紳胞(ヒト咽頭癌細胞)の細胞膜脂質成分に対するCyDsの影響を調べたところ、ジメチル-α-シクロデキストリン(DM-α-CyD)は両細胞に対してコレステロール漏出作用を示さず、リン脂質を強く漏出させることが示唆された。また、DM-α-CyDはスフィンゴ脂質リッチリピッドラフトの主要構成脂質であるスフィンゴミエリンを濃度依存的に可溶化することが示唆された。このことから、DM-α-CyDは細胞膜上のラフトの内、コレステロールリッチリピッドラフトよりもむしろスフィンゴ脂質リッチリピッドラフトに作用することが示唆された。一方、メチル-β-CyD(RM-β-CyD)は、コレステロールを強く可溶化したことからコレステロールリッチリピッドラフトに作用していることが示唆された。さらに、メチル化CyDsは、天然CyDsよりも強い細胞障害活性を有することが示唆された。 次に、メチル化CyDsの作用に腫瘍細胞特異性を付与させるため、腫瘍細胞のラフトに高発現する葉酸レセプターに特異的に結合する葉酸を修飾した葉酸修飾メチル化CyD結合体の調製を試みた。CyDへの葉酸修飾は、CyDの分子内水酸基をトシル化後、アミノ化を経て、縮合反応により行った。DM-α-CyDは、分子内メチル基による立体障害のため、トシル化反応が進行せず、葉酸修飾体を得ることは困難であった。一方、RM-β-CyDは葉酸修飾RM-β-CyDの調製が可能であることが示唆された。今後、葉酸修飾RM-β-CyD結合体の細胞障害性、細胞内取込みを検討し、担癌マウスに対する抗腫瘍効果を評価していく予定である。
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