2009 Fiscal Year Annual Research Report
ジメチル-α-シクロデキストリンを用いた腫瘍細胞選択的新規抗癌剤の構築
Project/Area Number |
20890166
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
本山 敬一 Kumamoto University, 大学院・生命科学研究部, 講師 (50515608)
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Keywords | 癌 / 薬学 / シクロデキストリン / DDS |
Research Abstract |
本研究の目的は、腫瘍細胞において発現が上昇する脂質マイクロドメイン(ラフト)に特異的に作用することが示唆されているメチル化シクロデキストリン(M-CyD)を用いて腫瘍細胞選択的新規抗癌剤を構築することである。 まず、M-CyDの細胞膜障害活性に腫瘍細胞特異性を付与させるため、腫瘍細胞のラフトに高発現する葉酸レセプター(FR)に特異的に結合する葉酸(FA)を修飾した葉酸修飾M-CyD結合体の調製を試みた。CyDへの葉酸修飾は、CyDの分子内水酸基をトシル化後、アミノ化を経て、縮合反応により行った。ジメチル(DM)-α-CyDは、分子内メチル基による立体障害のため、トシル化反応が進行せず、葉酸修飾体を得ることは困難であった。一方、M-β-CyDでは葉酸修飾M-β-CyD (EA-M-β-CyD)を新規に調製できた。FA-M-β-CyDは、FRを高発現するKB細胞に対して濃度依存的に細胞障害活性を示したが、FRの発現が低いA549細胞に対して、ほとんど細胞障害活性を示さなかった。さらに、EA-M-β-CyDはFR発現細胞選択的に取り込まれることが示唆された。これらの結果より、FA-M-β-CyDはFRを介して細胞内に取込まれ、FR高発現細胞選択的な細胞障害活性を有することが示唆された。また、抗癌剤ドキソルビシン(DOX)/FA-M-β-CyD混合溶液は、DoX単独と比較して有意に高い細胞障害活性を示したことから、FA-M-β-CyDは新規抗癌剤としてだけでなくDOXなどの抗癌剤に対するDDSキャリアとしても応用できる可能性が示唆された。これらの知見は、FAやM-CyDを用いた腫瘍細胞選択的新規抗がん剤の構築に際し、有用な基礎資料となるものと考えられる。
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Research Products
(3 results)