2008 Fiscal Year Annual Research Report
難治性疾患の病態に深く関与するCYLDの新たな病態制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
20890167
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
城野 博史 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 講師 (40515483)
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Keywords | CYLD / 脱ユピキチン化酵素 / 肺線維症 / 慢性閉塞性肺疾患 / 遺伝性疾患 / 細菌感染症 |
Research Abstract |
難治性疾患の発癒畿構におけるCYLDの役割を解明することを目的とし、以下の検討を行った。 1.CYLDの関与する肺線維症発症メカニズム解明 (1)肺炎球菌感染によるCYLD欠損マウスの肺線維症紹織に対する遺伝子発現解析の結果、CYLD欠損マウスの肺においてコラーゲンなどの細胞外基質の過剰蓄積が確認された。 (2)肺線維症組織のプロテオーム解析の結果、CYLD欠損マウスの肺においてトランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)シグナル伝達経路の過剰な活性化が起こっていた。 以上の結果から、CYLD欠損するとTGFβシグナル伝達経路の異常な活性化が起こり、その結果、肺線維症の原因となる細胞外基質の過剰な蓄積が起こっている可能性が示された。 2.慢性炎症化メカニズムに関与するCYLDの機能解析 (1)NIHi感染を起こしたCYLD欠損マウスでは、野生型のマウスと比較して、炎症性サイトカインとして知られているTNF-α、IL-1β、MIP-2の過剰な発現が惹起されていた。 (2)CYLD欠損細胞株においても、TNF-α、KL-1β、MIP-2の過剰発現が確認され、その過剰発現は遺伝子導入によりCYLDを発現させることで抑制された。また、本抑制効果は、脱ユビキチン化作用を示さない変異CYLDを過剰発現させた場合確認できなかった。以上の結果より、CYLDが欠損すると炎症性サイトカインを介した過剰炎症反応を起こし、その炎症反応には、CYLDの脱ユビキチン化作用が重要な役割を果たす可能性が示された。3.FAP発症機構こおけるCYLDの役割の解明 現在、FAP患者の検体を用い、様々なアミロイド沈着臓器におけるCYLDの発現をリアルタイムPCRにより確認し、NF-κBの活性化やユビキチン化と相開しているか検討中である。 以上1〜3の結果より、CYLDは、多様な疾患、特に細菌感染症の病態発症に密接に関与していることが明らかとなった。
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