2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20890183
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
橋本 美幸 Saitama Prefectural University, 保健医療福祉学部, 講師 (70513183)
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Keywords | 育児支援 / 育児不安 / 家庭訪問 / アウトカム評価 |
Research Abstract |
今年度、看護職による訪問指導の効果評価を目的とした調査を、2つの自治体において新たに開始した。この2つの自治体では調査中であり、データが集まり次第分析を行う。 昨年度から調査を継続している自治体では、1年間の訪問指導のアウトカム評価を実施し、母親の不安を軽減するより効果的な訪問指導実施のための改善点を提示した。分析は出産後30日以内に訪問を実施した群(訪問I群:n=24)と、出産後30日以降に訪問をした群(訪問II群:n=11)の2群別に行った。 訪問I群の改善率(訪問指導によって、アウトカムが改善する可能性があった母親のうち、実際に改善した母親の割合)は45.8%、安定率(アウトカムが悪化する可能性のあった母親のうち、実際に悪化しなかった母親の割合)は54.2%であった。訪問II群の改善率と安定率はともに90.9%であり、STAIの状態不安得点が訪問後に低くなっていた(p=0.03)。以上の結果から、訪問I群よりII群で、指導効果が評価されており、訪問I群の指導の見直しの必要性が示唆された。 指導内容については、訪問I群では「でべそ」,「授乳の間隔」,「児の入浴」,「乳房トラブル」、訪問IIでは「しゃっくり・鼻づまり」,「消毒」などの項目で、指導後に心配が有意に少なくなっており、指導効果が認められた。しかし、訪問前の母親の不安と相関関係が認められた「母乳不足」,「授乳間隔」,「児の環境」など8項目のうち、指導後に心配が軽減していたのは「授乳間隔」(p=0.01)だけであった。これら8項目の改善率は8.3~58.3%、安定率は70.8~95.8%であった。指導後に不安や心配が軽減していた項目については指導が評価されと考えた。一方、不安や心配が軽減していない項目については指導への評価が低くかったと考え、改善すべき指導内容とした。 訪問実施者へこれらの結果を提示し、改善すべき指導内容の検討を行った結果、母親の不安がより減少し、訪問指導の効果が認められ、アウトカム評価の重要性が示されたと思われる。
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