2008 Fiscal Year Annual Research Report
在宅緩和ケアへ移行する終末期がん患者に対するアドボケイトとしての看護実践
Project/Area Number |
20890189
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Research Institution | Mie Prefectural College of Nursing |
Principal Investigator |
森 京子 Mie Prefectural College of Nursing, 看護学部, 助手 (90453084)
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Keywords | 終末期がん患者 / 在宅緩和ケア / アドボケイト / 看護実践 |
Research Abstract |
今年度は、終末期がん患者の在宅緩和ケアへの移行およびその看護に関する文献、アドボケイトとしての看護実践に関する国内外の文献検討を行った。看護アドボカシー、アドボケイトとしての看護師の役割、看護実践は、様々な捉え方がされており、その意味は多様であった。また、これらは個々には、議論がされているが、アドボケイトとしての看護実践に焦点をあてた研究は見当たらなかった。看護アドボカシー実践に関する研究では、意思や思いを把握する、情報提供するなどの行動は明らかにされていたが、その看護の判断や意図については示されておらず、アドボケイトとして看護師がどのような看護実践をしているのかは明確にされていなかった。また、終末期がん患者の療養場所の選択、移行の現状を理解し、課題を明らかにするために、地域がん診療拠点病院および在宅療養支援診療所において終末期がん患者の在宅緩和ケアへの移行に関わる看護師を研究参加者とし、参加観察およびインタビューを行った。その結果、地域がん拠点病院では、退院支援システム、在宅移行支援体制の構築の途上にあることが分かった。また、終末期がん患者の療養場所は、必ずしも在宅ではなく、緩和ケア病棟や他の一般病棟など多様であった。しかし、特に終末期がん患者の在宅緩和ケアへの移行に際しては、病状が不安定な中で、時期を逸さないよう、多職種の集中的な関わりが必要であり、短期間で退院に向けた準備や調整が進められていた。これまでの分析結果から、在宅緩和ケアへの移行においては、往診医の確保など受け皿の問題だけでなく、時期を逸さないように援助することが重要であると考えられた。よって、終末期がん患者の在宅緩和ケアへの移行においては、患者の意向を看護師が捉え、チームにつなぐことが、重要であり、看護師がどのような立場で患者を観て、真意を捉えたり、働きかけるか、看護の在り方に影響されると考えられた。
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