2009 Fiscal Year Annual Research Report
在宅緩和ケアへ移行する終末期がん患者に対するアドボケイトとしての看護実践
Project/Area Number |
20890189
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Research Institution | Mie Prefectural College of Nursing |
Principal Investigator |
森 京子 Mie Prefectural College of Nursing, 看護学部, 助手 (90453084)
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Keywords | 終末期がん患者 / 在宅緩和ケア / アドボケイト / 看護実践 |
Research Abstract |
本研究は、終末期がん患者が在宅緩和ケアへ移行する際のアドボケイトとしての看護実践とは何かを明らかにすることを目的とし,病院看護師への参加観察・半構成的面接を行った。その結果,在宅緩和ケアへ移行する終末期がん患者に対するアドボケイトとしての看護実践のテーマとして,【選択できるように支える】,【患者が望む過ごし方を具現化する】,【スムーズな療養場所への移行を図る】が生成された。療養場所変更に関する説明の時期から退院までの時期は3つに大別され,各時期におけるアドボケイトとしての看護実践の内容として,説明時期では,<選択に必要な情報を練り上げる>,<真意に沿った療養方針を決定する場を設定する>,<患者が熟慮した上で選択できる状態を整える>,<患者の望む場に向けて方向づける>という看護実践が見出された。在宅移行までの準備時期では,<患者の希望と家族の調和を見極める>,<患者の在宅療養に対する決意を問い直す>,<退院調整拡大カンファレンスのメンバーを揃える>,<在宅ケアチームの支援体制を手配する>,<退院調整拡大カンファレンスへの患者の参加を助ける>,<家族の在宅受入れ体制を調える>という看護実践が見出された。退院までの時期では,<必要な医療・ケアを継続できる環境を整える>,<在宅移行に向けた準備を促す>という看護実践が見出された。看護師は,患者や家族が尊重され,自分の意思で【選択できるように支える】ことを重要視し,患者の真意をつなぐ関わりをしていた。また,看護師がチームの多職種と連携する際には患者や家族の真意をチームに浸透させ,その真意をケアに反映させて【患者が望む過ごし方を具現化する】ために,【スムーズな療養場所への移行を図る】という看護実践を行っていた。これらの看護実践は,常に命の限られた患者の時間を意識し,多職種との協働の中で患者の真意とケアをつなぐことを意味していた。
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