2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20890200
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
小林 悠佳 Wakayama Medical University, 医学部, 助教 (20511562)
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Keywords | 神経障害性疼痛 / セラミド / 中枢神経 / スフィンゴ脂質 / アロデイニア / 痛覚過敏 / ミクログリア / サイトカイン |
Research Abstract |
<研究目的>神経障害性.一痛治療の新規ターゲットとしてのセラミドの関与を検討する。 <研究方法および計画>1. 神経障害性疼痛モデルにおけるセラミドの:坐骨神経部分結紮(PSL)モデルを用い、疼痛反応に及ぼすセラミド合成酵素阻害薬(Fumonisin B1:FB1)の脊髄くも膜下腔内投与(i.t.)の影響についてvon Frey testにより疼痛評価した。FB1投与後脊髄を用い、Iba-1抗体による免疫染色を行った。PT-PCR法によりPSL後のセラミド生成酵素(NSMase)発現を測定した。 2. セラミドによる脊髄ミクログリアおよび炎症性サイトカイン発現への影響:正常マウスにセラミドi.t.投与し、免疫染色およびRT-PCR法により解析した。 <結果・考察>1. PSLにより惹起される触アロディニアは、疼痛形成過程であるPSL後3時間および3日目におけるFB1 (1-10nmol)投与により用量依存的かつ有意に減弱が認められた。一方、疼痛形成後であるPSL後7日目単回投与では疼痛反応は減弱しなかった。PSL後3時間および3日目FB1投与後脊髄後角において、PSLによる脊髄ミクログリアの活性化が顕著に抑制された。PSL後脊髄においてPSL後3時間よりNSMaseが発現増加し、7日まで持続した。 2. セラミド(3nmol,i,t.)投与後3時間および24時間の脊髄ミクログリアの活性化が溶媒投与群に比して顕著に観察された。また、セラミド投与後3時間の脊髄で炎症性サイトカイン(IL-1β, TNFα)の発現増加が認められた。 これらの結果より、セラミドによる脊髄ミクログリア活性化および炎症性サイトカイン発現増加が神経障害性疼痛の形成に関与することが示唆され、神経障害性疼痛の疼痛機構解明におけるセラミドの重要性と新規治療ターゲットとしての可能性を導いた。
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