2008 Fiscal Year Annual Research Report
象牙芽細胞の形態変化、移動に関わるRhoシグナリングの機能解析
Project/Area Number |
20890208
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
大津 圭史 Iwate Medical University, 歯学部, ポストドクター (60509066)
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Keywords | 象牙芽細胞 / Rho シグナリング / 歯胚発生 / slice culture / real time imaging |
Research Abstract |
歯の発生課程において象牙芽細胞では、細胞核の移動、細胞形態の変化、歯髄側への細胞移動などの現象が見られるが、これらを制御する細胞内分子調節機構に関しては不明な点が多い。そこで我々はRhoファミリータンパク質がこれら一連の変化(核の移動、形態変化、移動)を調節することで、象牙質形成を制御していると仮説を立てた。今回この仮説を実証し、象牙芽細胞の分化、象牙質形成に関わる新たな細胞内調節機構を解明するために、より生体内の環境に近い状態で、単一細胞内の現象を時間的空間的に可視化する新たな実験法の確立が重要な課題であると考え、本研究計画を申請した。 今年度得られた研究成果 1. GFPマウスを用いた象牙芽細胞観察のためのslice culture培養法の確立 象牙芽細胞における形態や極性の変化、細胞移動のダイナミクスが観察可能なSlice culture培養法を確立し、real time imaging撮影の至適条件を明らかにした。更に現在はコントロール条件下とRho kinase inhibitor (RKI)条件下での象牙芽細胞の形態変化、細胞移動スピードの比較解析を行っている。 2.象牙芽細胞株の樹立 歯乳頭由来細胞株(mNeur)から象牙芽細胞マーカーであるネスチン陽性細胞をクローニングし、象牙芽細胞株を樹立した。 3.象牙芽細胞株でのRhoタンパク質機能解析 樹立した象牙芽細胞株を用いて、RKIを用いた機能喪失実験を行った。その結果RKIによって象牙芽細胞の形態、凝集能は変化し、Rho kinaseの下流にあると考えられているアクチンの発現が有意に減少していることが明らかになった。今後は更にRho kinaseのアクチン以外の細胞骨格タンパク、p-MLC,カドヘリンなどへの関わりについても検討を加えていく予定である。
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